気持ち良さの追求ーーケチャまつり

新宿の高層ビル街。スーツ姿のビジネスマン&ウーマンが足早に歩いていく。ケチャまつりはこの街の一角で毎年開催され、今年で42回目を迎えた。

LSD研究で農学博士を取った大橋力さんが「芸能山城組」を創立し、このケチャまつりを始めたそうだ。ケチャといえばインドネシアの上半身裸の男たちが大勢で輪になってケチャケチャケチャと唱えるミステリアスでトランス状態に入りそうな民俗芸能といったイメージだけれど、それをパフォーマンスコミュニティ「芸能山城組」の方たちが手作りで上演。演目はケチャ以外にもガムラン、ブルガリア・ジョージア(旧グルジア)の合唱、福島県いわき市のじゃんがら念仏踊りと岩手県奥山行上流餅田鹿踊も…!すごいラインナップ!なるほど気持ちよくトリップできちゃうものばかり! 

「聴こえない超高周波が美と快と感動の脳機能に着火する〈ハイパーソニック・エフェクト〉」の発見者である大橋力さん。ケチャまつりは大昔の祝祭が持っていたパワーを現在の都会で体感できる奇跡のような祭りなのかもしれない。(ケイコ・K・オオイシ)

IMG_2286

「WORDS & SOUNDS」にISSUGI『7INC TREE』のレヴューを寄稿

ヒップホップ/ラップ・ミュージックの批評サイト「WORDS & SOUNDS」にISSUGI『7INC TREE』のレヴューを寄稿しました。二木信くんとの合評です。僕の原稿はともかく、二木くんの批評が素晴らしいのでぜひ。
http://wordsandsounds.jp/post/163817969873/issugi-7inctree-va-1

img_1104-1.jpg

なお、ISSUGIには昨年、『DAY and NITE』のリリース時に取材させていただきました。(大石始)

interview/グラデーションのように繋がっていく音楽――ISSUGI、Gradis Niceとの共演作『DAY and NITE』を発表
http://www.cdjournal.com/main/cdjpush/issugi/1000001232

ISSUGI & GRADIS NICE – DAY and NITE / Blaze Up (Official
https://www.youtube.com/watch?v=4QPZW0dJi6Q

朝日新聞にインタヴューしていただきました!

コメント取材していただいた朝日新聞名古屋報道センターの原さんの記事が公開されました。僕のコメントも載ってます。

盆踊りの定番に「ダンシング・ヒーロー」、その理由は?
http://www.asahi.com/articles/ASK7T5HXJK7TOIPE02L.html

この夏は盆踊りの新たな動きに関してインタヴューを受ける機会が非常に多く、いくつかの新聞社も含めてトータル5つほどの媒体から取材を受けることになっています。かつては邪道などとも言われていたかもしれないこのような盆踊りの歴史と進化のありように、ジャーナリズム的視点から焦点をあてるメディアが増えているのは実に喜ばしいことです。

なお、こうした盆踊りの新たな動きに関しては、月刊「サイゾー」の連載「マツリ・フューチャリズム」でも細かく触れています。「ダンシング・ヒーロー」についても2回に分けてだいぶ深く突っ込んでいますので、よろしければこちらもぜひ。(大石始)http://www.premiumcyzo.com/modules/cat/rensai/cat430/

4年ぶりに青森ねぶたと五所川原立佞武多に行ってきました

この週末はふたたび青森へ。4年ぶりに青森市のねぶたと五所川原の立佞武多を取材してきました。

前回の取材の際はまだまだ音楽的関心から祭り・盆踊りにアプローチしていた時期だったため、ねぶた囃子のリズムやそれが祭りに与える影響を中心に取材したのですが、それから4年経ち、自分のなかの「祭り観」にも多少の変化がありました。今回ふたたびねぶたに触れることで、どのような思いが湧き上がってくるのか自分でも楽しみにしていました。

青森市のねぶたの魅力は、なんといってもねぶたそのものの芸術性。それぞれのテーマに基づき、専門のねぶた師とスタッフが丹精を込めて作りあげたねぶたには、観ている我々に突然襲いかかってきそうなほどの迫力があります。優れた大型ねぶたはひとつひとつのパーツに躍動感や生命力を宿らせているのですね。先々月取材させていただいた竹浪比呂央さん作成のものはまさにその最高峰! 本当に感動しました。​


一方、五所川原立佞武多の魅力は圧倒的なスケール感。23メートルもの大型ねぷたは改めて見ても呆気に取られるほどの高さです。また、五所川原は祭りそのものにまだまだカオティックな祝祭感が内包されているのがいいですね。青森市に比べてヤンキー濃度も高く、気合いの入った兄さん姐さんの佇まいに惚れ惚れとする瞬間も。地元の人たちが思いっきり楽しんでるのも最高。五所川原は津軽半島の入り口にあたる町でもあり、いつの日か五所川原を起点にしながら津軽半島をゆっくり旅してみたくなりました。

ねぶたはもともと「眠り流し」のような素朴な民俗行事がルーツにあるわけですが、なぜそこに太鼓のリズムと激しい踊りが加えられるようになったのでしょうか。民俗学的な裏付けではなく、当時の津軽人の心境に思いを馳せながら再度ねぶたの進化のプロセスを考えてみたくなりました。なんとなくですが、そこには「なぜ日本人は踊るのか?」という命題を解くヒントが隠されているような気がしているのです。(大石始)

「ユリイカ」8月号の特集「cero」に寄稿しました

発売されたばかりの「ユリイカ」8月号に寄稿しました。今回の特集はcero。僕は「街の音楽――ceroが描いてきた『東京』」と題し、東京の風土で育まれたフィクショナルな「街の音楽」としてのceroの世界観を探っています。

文中で「シティ・ポップを『街の音楽』と読み替え、その起点を70~80年代から大正~昭和初期まで一気に巻き戻すことによって見えてくるものとは一体なんなのだろうか?」ということを書いたのですが、この問いかけは今後も自分への宿題として取り組んでいこうと考えてます。

他の論考も力のこもったものばかり。僕もまだ全部読めていないので、明日からの青森出張の移動中に読んでみようと思ってます。(大石始)

「ユリイカ」8月号の詳細はこちらで。
http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3069

2017年夏のB.O.N

しばらくブログを更新できていなかったけれど、相変わらずB.O.Nはバタバタと動いてます。

現在のところ取材の中心になっているのは、来年初頭の刊行をめざして制作を進めている新刊。まだはっきりとしたことはお伝えできませんが、今回は盆踊り・祭りからさらに踏み込んだ「信仰心」がテーマになりそう。今までほとんど訪れたことのなかったエリアも含め、都内をぐるぐる回っております。東京に生まれて40年以上経ちますが、取材のたびにまだまだ知らない「東京」があったことに気付かされています。

写真は江戸川区のとある集落を訪れ、水神信仰のことを取材させていただいた際のワンカット。昭和40年代までこの一帯は水路が張り巡らされた「水の町」だったとか。かつての町の風景を知る方々のお話に驚かされてばかりいます。(大石始)

「沖ノ島」藤原新也 写真展

世界文化遺産登録された沖ノ島の写真展。撮影は藤原新也さん。「印度放浪」や「メメント・モリ」などの作品が思い浮かぶ方も多いのでは。「ニンゲンは犬に食われるほど自由だ」ってテキストも記憶に残っている。

沖ノ島への一般人の上陸は厳しく制限されている。

しかし禁則の地とはいえ、写真に写っているのは、巨石や木や密林だ。そこには見たこともないような奇異はない。ただ自然がある。

目の前の手付かずの自然との対峙。そこにあるのは自然のままの岩。でも、その場で醸される特別な空気の影を捉えようと格闘する写真家の姿勢が、フレーミングや現像の工夫や画像の粒子から感じられて、そこには形としては写っていないけれど、ただならぬ気配を感じてしまう。何なんだろう、写ってはいないのに感じられる、明らかに普通ではない空気感。写真の不思議さ、呪術的な力を改めて感じた。

禁足の地が、必ずしも人間にとって御利益のある場所だとは限らないし、特別なパワーを人間に与えてくれるわけではない、と私は思う。

むしろ入るなと言われている場所には、怒らせると大変なことになる何かがいるのではないか。

自然は時に優しく、時には非常に厳しい姿を私たちに見せてくれる。単純に地震や津波や噴火などの自然災害に人間は勝てないということ。そこに畏怖の念を覚えることは、地球に生きる人間として根本的に重要なことだと思う。

そして禁足の地は日本各地に点在している。他にもまだまだ知られざる神のいる場所は存在する。

世界文化遺産登録された沖ノ島は、来年から一般人の全面立ち入り禁止が決まったそうで、心からホッとしている。元は女人禁制ということだし、私は一生行くことはないので、藤原さんの写真で見せていただいてありがたいなと思う。(ケイコ・K・オオイシ)

img_3269-2.jpg

久々に青森ねぶたの記事を書きました!

JR東日本の旅するメディア「びゅうたび」で青森ねぶたの記事を書きました。今回は執筆だけでなく、写真撮影も。メモを取りながら撮影するのは、やっぱりなかなか大変ですね。楽しかったけど、ふだん使わない筋肉を使いました。

ねぶたについては昨年出した拙著『ニッポンのマツリズム』(アルテスパブリッシング)でも一章を割きましたが、今回は青森・弘前・五所川原各地のみなさまに取材。さらっと読める感じでまとめたものの、『ニッポンのマツリズム』で触れられなかったことも少しだけ盛り込んであります。なお、明後日からはふたたび青森へ。青森市と五所川原のねぶたを久々に体験してきます!(大石始)

ねぶたの夏到来!祭りの見どころを青森の達人たちに聞いてみた
https://www.viewtabi.jp/17071801-2

トークイベント「不可視のカルチャー雑誌を編集する方法」に出演

1月31日(火)、銀座の「本屋 EDIT TOKYO」で行われるトークイベント「不可視のカルチャー雑誌を編集する方法」に出演いたします。オーガナイズは編集者の九龍ジョーさんで、「Jazz The New Chapter」シリーズの監修者でもある音楽評論家、柳樂光隆さんもご一緒です。

以下、九龍さんの告知文より。
==================

あらゆる方法やツールを駆使しながら、どこかお二人ともに感じるのは、それぞれが「見えないカルチャー雑誌」を編集されているのではないか、ということです。不肖ぼく自身、そういうところがあるので「雑誌」という言い方をしていますが(あと今回の企画のキーワードが「編集者」でもあるので)、大きくは「メディア」でも「風景」でもかまいません。

さらにこんなことを思います。

そもそも見えないのだから確信もできませんが、そういった不可視の雑誌を編集することはとても楽しい作業なのではないかと。

もちろん苦労も絶えないとは思いますが、心躍る瞬間はきっと多いはずで、その「心躍る瞬間」にこそ、エディット脳はフル回転するのではないか。

そういった方法はいかにして可能か、を念頭に置きながら、ざっくばらんにそれぞれが「今、面白い」「興味ある」ことについても話ができればと思います。

==================

案外異色の組み合わせだと思うし、僕自身、どんなトークイベントになるか見えないところもあるんですが、だからこそ非常に楽しみです!

チケット申し込みや詳細はこちらのリンクからどうぞ。http://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01h2xkynfnuu.html

神の使者「神鬼」の化身が司る伝統行事――秋田県男鹿市北浦真山地区「真山のナマハゲ」

年明けから随分時間が経過してしまいましたが、昨年後半はバタバタのあまり、こちらのブログにもまったく書き込みすることができませんでした。今年は心機一転、もう少し積極的に書き込みをしていければと思っております(といいながら、すでに年明けから9日ほど経過しているわけですが…)。というわけで、本年もどうぞよろしくお願いいたします!

まず、大晦日から正月までは秋田にお邪魔しておりました。2012年に西馬音内盆踊りを取材して以来なので、実に4年ぶり。しかも初めての冬の秋田です。

今回の旅の目的のひとつが、男鹿半島でナマハゲを取材すること。ナマハゲというとどうしても観光客向けのものか、エンターテイメント的要素の強い創作芸能系のイメージが強かったのですが、本来は小正月の民間伝承行事。男鹿半島では集落ごとに異なるスタイルのナマハゲが継承されており、そのなかには「これもナマハゲなの?」という奇妙な面のものも多数あります。今回は「里山のカフェ ににぎ」店主の猿田さんにお世話になり、ナマハゲの発祥地のひとつとされる真山のものを体験することができました。


真山のナマハゲは角がなく、一般的な「ナマハゲ=鬼」のイメージとはまるで違います。実際、真山のナマハゲは神の使者「神鬼」の化身とされていて、集落の人々はそんなナマハゲを暖かく迎え入れ、ご馳走でもてなします。その光景からは、仏教的な鬼のイメージが一般的になる以前の、それこそ仏教伝来以前の信仰の形が透けて見えてくるようです。子供を驚かすだけがナマハゲの仕事ではないんですね。


また、真山は海と山の信仰が重なり合う男鹿半島の宗教世界の中心をなす霊山。昨年10月に訪れた大分の国東半島も独特の信仰が凝縮された地でしたが、男鹿半島の濃密な宗教世界との共通点を感じたりもしました。ナマハゲの背景に広がる男鹿半島のディープで豊かな世界に触れられただけでも訪れた甲斐があったな。男鹿半島、東京からはちょっと距離があるけど、苦労してでも行く価値あり。2日間の短い滞在期間でしたが、本当におもしろいところです。なお、こちらの取材記事は月刊「DISCOVER JAPAN」の祭り連載で取り上げる予定です。

「里山のカフェ ににぎ」のFBページはこちら。ため息が出るほど美しいところです。冬季は休業中とのことで、行かれる際はこちらで営業情報のチェックを。
https://www.facebook.com/ninigicafe/

2日目は男鹿半島から三種町へ。かの菅江真澄も訪れたという曹洞宗・松庵寺(創建は1532年)にお邪魔し、副住職の英心くんとご家族のみなさまにお世話になりました。

英心くんはコロリダスの打楽器奏者として活躍する一方、秋田に軸足を置いた仏教系レゲエ・バンド、英心&The Meditationaliesのリーダーとしても精力的に活動中。2015年に出た英心&The Meditationaliesの『からっぽ』はトンでもない傑作でして、以前からぜひ一度英心くんの歌の背景にあるものに触れてみたいと思っていました。



英心くんに教えてもらって初めて知ったのですが、秋田は1日の日照時間が日本でも3本の指に入るほど短い地。秋田のリアルな現状についてもいろいろと話を聞き、英心くんの歌の根っこにあるひんやりとした感覚がどこからやってきたのか、少し分かった気がしました。もちろん秋田で音楽活動を続けるのは本当に大変だと思うのですが、英心くんの活動によって勇気付けられたりヒントをもらう地方在住のミュージシャンは多いんじゃないでしょうか。僕自身、「視線を少し変えるだけで人生はこんなに豊かになる」ということを英心くんとご家族に教えていただいた気がいたします。

ちなみに、英心くんのお父様であり、松庵寺の住職である紫山さんは神奈川県鶴見区の総持寺にもいらっしゃったというお方。総持寺といえば、「一休さん」で踊りまくる独特の盆踊りカルチャーで知られており、僕も昨年総持寺で取材させていただきましたが(取材記事は月刊サイゾーの連載「マツリ・フューチャリズム」で書きました)、紫山さんの口から80年代の総持寺盆踊りに関する貴重な証言が突然飛びだしてビックリ。世界は狭いというか何というか。

英心&The Meditationalies『からっぽ』のトレイラーはこちらで。松庵時および三種町の風景もたっぷり。柴犬のマイケル(8歳)も出てきます。
https://www.youtube.com/watch?v=M3x70VUOjc8

猿田さんのお宅と英心くんのお宅では秋田の美味しいお料理とお酒もたっぷりいただき、両家のみなさまにはいくら感謝しても足りないほど。本当にありがとうございました!