神の使者「神鬼」の化身が司る伝統行事――秋田県男鹿市北浦真山地区「真山のナマハゲ」

年明けから随分時間が経過してしまいましたが、昨年後半はバタバタのあまり、こちらのブログにもまったく書き込みすることができませんでした。今年は心機一転、もう少し積極的に書き込みをしていければと思っております(といいながら、すでに年明けから9日ほど経過しているわけですが…)。というわけで、本年もどうぞよろしくお願いいたします!

まず、大晦日から正月までは秋田にお邪魔しておりました。2012年に西馬音内盆踊りを取材して以来なので、実に4年ぶり。しかも初めての冬の秋田です。

今回の旅の目的のひとつが、男鹿半島でナマハゲを取材すること。ナマハゲというとどうしても観光客向けのものか、エンターテイメント的要素の強い創作芸能系のイメージが強かったのですが、本来は小正月の民間伝承行事。男鹿半島では集落ごとに異なるスタイルのナマハゲが継承されており、そのなかには「これもナマハゲなの?」という奇妙な面のものも多数あります。今回は「里山のカフェ ににぎ」店主の猿田さんにお世話になり、ナマハゲの発祥地のひとつとされる真山のものを体験することができました。


真山のナマハゲは角がなく、一般的な「ナマハゲ=鬼」のイメージとはまるで違います。実際、真山のナマハゲは神の使者「神鬼」の化身とされていて、集落の人々はそんなナマハゲを暖かく迎え入れ、ご馳走でもてなします。その光景からは、仏教的な鬼のイメージが一般的になる以前の、それこそ仏教伝来以前の信仰の形が透けて見えてくるようです。子供を驚かすだけがナマハゲの仕事ではないんですね。


また、真山は海と山の信仰が重なり合う男鹿半島の宗教世界の中心をなす霊山。昨年10月に訪れた大分の国東半島も独特の信仰が凝縮された地でしたが、男鹿半島の濃密な宗教世界との共通点を感じたりもしました。ナマハゲの背景に広がる男鹿半島のディープで豊かな世界に触れられただけでも訪れた甲斐があったな。男鹿半島、東京からはちょっと距離があるけど、苦労してでも行く価値あり。2日間の短い滞在期間でしたが、本当におもしろいところです。なお、こちらの取材記事は月刊「DISCOVER JAPAN」の祭り連載で取り上げる予定です。

「里山のカフェ ににぎ」のFBページはこちら。ため息が出るほど美しいところです。冬季は休業中とのことで、行かれる際はこちらで営業情報のチェックを。
https://www.facebook.com/ninigicafe/

2日目は男鹿半島から三種町へ。かの菅江真澄も訪れたという曹洞宗・松庵寺(創建は1532年)にお邪魔し、副住職の英心くんとご家族のみなさまにお世話になりました。

英心くんはコロリダスの打楽器奏者として活躍する一方、秋田に軸足を置いた仏教系レゲエ・バンド、英心&The Meditationaliesのリーダーとしても精力的に活動中。2015年に出た英心&The Meditationaliesの『からっぽ』はトンでもない傑作でして、以前からぜひ一度英心くんの歌の背景にあるものに触れてみたいと思っていました。



英心くんに教えてもらって初めて知ったのですが、秋田は1日の日照時間が日本でも3本の指に入るほど短い地。秋田のリアルな現状についてもいろいろと話を聞き、英心くんの歌の根っこにあるひんやりとした感覚がどこからやってきたのか、少し分かった気がしました。もちろん秋田で音楽活動を続けるのは本当に大変だと思うのですが、英心くんの活動によって勇気付けられたりヒントをもらう地方在住のミュージシャンは多いんじゃないでしょうか。僕自身、「視線を少し変えるだけで人生はこんなに豊かになる」ということを英心くんとご家族に教えていただいた気がいたします。

ちなみに、英心くんのお父様であり、松庵寺の住職である紫山さんは神奈川県鶴見区の総持寺にもいらっしゃったというお方。総持寺といえば、「一休さん」で踊りまくる独特の盆踊りカルチャーで知られており、僕も昨年総持寺で取材させていただきましたが(取材記事は月刊サイゾーの連載「マツリ・フューチャリズム」で書きました)、紫山さんの口から80年代の総持寺盆踊りに関する貴重な証言が突然飛びだしてビックリ。世界は狭いというか何というか。

英心&The Meditationalies『からっぽ』のトレイラーはこちらで。松庵時および三種町の風景もたっぷり。柴犬のマイケル(8歳)も出てきます。
https://www.youtube.com/watch?v=M3x70VUOjc8

猿田さんのお宅と英心くんのお宅では秋田の美味しいお料理とお酒もたっぷりいただき、両家のみなさまにはいくら感謝しても足りないほど。本当にありがとうございました!

「炭坑と失業者の町」を音楽と祭りの力で変える試み――福岡県田川郡香春町香春「オザシキオンガクフェスティバル」

写真/ケイコ・K・オオイシ

「筑豊」という地名を聞くと、全国市町村都市ランキングでもワーストに入るほど高い失業率と生活保護受給者数など、ネガティヴなイメージを持つ方も少なくないことでしょう。僕にしても土門拳撮影による写真集「筑豊のこどもたち」(昭和35年)や映画「青春の門」シリーズで伝えられてきた「荒廃した炭坑の町」というイメージをつい最近まで引きずっていたものでした。

そうした印象が一転したのは2年前、「炭坑節」でも歌われている霊山、香春岳の麓に広がる田川郡香春町の盆踊りを取材させていただいて以降のこと。そこで触れたのは、新盆のお宅を回る香春独特の盆踊り文化であり、古代より朝鮮半島や中国と密接な繋がりがあったという歴史の厚みであり(『宇佐八幡と古代神鏡の謎』という研究書では田村圓澄さんが<「香春/カワラ」という地名は、新羅から渡来した神を祭る山の名「カハラ」からきているのではないか>と書いています)、そして何よりも、その土地に住む人々の優しさとエネルギッシュな魅力そのものでした。そのときの体験は7月に刊行された著作『ニッポンのマツリズム』にも記しましたが、2年前の取材以降、僕にとっての田川とは「荒廃した炭坑の町」ではなく、全国的に見ても極めてディープな盆踊りの文化が息づく土地であり、大好きな人たちが住む特別な街になったのです。

とはいえ、過疎や高い失業率で苦しむ現状は田川の紛れもない現実。そんな故郷を音楽の力で変えるべく昨年からスタートしたのが、「オザシキオンガクフェスティバル」というDIYフェスです。この15日にそのフェスが開催されたのですが、光栄なことに僕も祭り映像上映&DJで出演させていただきました。
「オザシキオンガクフェスティバル」実行委員代表の大石勇介くんと竹野大喜くんは2人とも数年前に田川に戻ったUターン組。2人ともDJとして活動してきたこともあって、それぞれの活動のなかで培ってきたネットワークを活かし、九州を中心とする各地で活動するアーティスト/DJが出演しました。

会場はもともとユニクロの店舗だった場所。体育館ほどの広さのあるその会場に畳を敷き詰め、そこに2つのステージとさまざまなブースが立ち並ぶ光景はまさに「新しい街」。Uターン組である勇介くん&大喜くんたちと地元の人たちが協力しあいながら、何もなかったガランとしたユニクロ跡地にひとつの祝祭空間を作り上げてしまったわけで、そこまでの苦労は僕などの想像を超えるものだったはずです。また、主催の勇介くんたちと地元の人たちとの間を繋ぐ重要な役目を果たしていたのが勇介くんやスタッフのご家族だったことにもとても感銘を受けました。「若者たちのための音楽フェス」というよりも「家族ぐるみの地域の祭り」。それゆえに2回目の開催にして、早くも田川の風景にすんなり馴染んでいたように僕の目には写りました。

個人的にはこれまでずっと会いたかった九州各地のみなさまと一気に会うことができたのも嬉しかった。東京にいるとなかなか見えてこないことですが、九州はローカルを盛り上げるべく奮闘している方々が各地にいて、それぞれが太いネットワークで繋がっています。そうしたミュージシャン/DJ/関係者があそこまで一挙集合することもなかなかないことでしょう。僕としては豊田の仲間であるALKDOの2人、大阪の仲間であるROJO REGALOのPICOさん&キョンキョンもやってきたということで、各地のDIYネットワークが一気に繋がってしまったような感覚もありました。
祭りの最後を飾ったのは、2年前に取材させていただいた香春町の盆踊り団体のみなさん。地元のおばちゃんもパンクスも子供も酔っぱらいもライターも(これは僕です)ひとつの輪となってグルグルグルグル。踊りの輪が止まったあと、ひとりの女性がボロボロと涙をこぼしながら「いい祭りでしたね」と僕に一言、僕もその言葉で涙腺崩壊です。盆踊り後のあの感動はまだちょっと言葉にすることはできません。岐阜の白鳥おどりや徳島の阿波おどりを体験した後、その興奮をうまく言葉にできないままボロボロとひとり涙したことを思い出しました。
集う人々の熱量と手作りならではの破天荒なおもしろさ、鳴り響く音の逞しさ。一回目の「橋の下世界音楽祭」(愛知県豊田市)でも感じた、胸の奥がカッと熱くなる感覚を「オザシキオンガクフェスティバル」でも感じることができました。

祭りが終われば、あの空間に集う人々も各自の「ローカル」に戻り、今頃それぞれの活動を再開させているはず。僕もすぐに締め切りに追われる生活へと戻ったわけですが、「九州にはオザシキオンガクフェスティバルを共に体験した仲間たちがいる」という感覚が僕のなかで失われることはないでしょう。自分たちの足元を自分たちなりのやり方でおもしろくしている人たちと繋がりながら、自分なりのやり方で少しでもこの世界を色鮮やかなものにしていくこと――それこそが僕の本当にやりたいことなんだと再認識させてくれた「オザシキオンガクフェスティバル」。あの奇跡的な瞬間を共有したすべてのみなさんに感謝。また一緒に踊りましょう!

今月号の月刊「DISCOVER JAPAN」の連載「あなたの知らないニッポンの祭り」では……


今月号の月刊「DISCOVER JAPAN」の連載「あなたの知らないニッポンの祭り」第13回では、埼玉県鶴ヶ島市で4年に一度行われる「脚折雨乞」を取り上げています(写真はケイコ・K・オオイシ)。総勢300人の男たちによって担がれる龍蛇の長さは実に全長36メートル。関東ではさまざまな雨乞い儀礼が継承されていますが、ここまでの巨大な蛇神を担ぐ雨乞いはここぐらいのもの。想像をはるかに超える迫力でした!

なお、この連載でこれまで取り上げた祭り・伝統行事を以下にまとめておきます。本当はこの連載も1年ぐらいやったら単行本にまとめたいと思っていたのですが、まだまだ取材したいものは多く、しつこく、マイペースに続けていこうと思ってます。このまま5年ぐらい続けていったら結構厚みのあるアーカイヴになりそうです。

(1)三重県伊勢市円座町「かんこ踊り」
(2)秋田県雄勝郡羽後「西馬音内盆踊り」
(3)鹿児島県南さつま市金宝峰町「ヨッカブイ」
(4)沖縄県宮古島島尻「パーントゥ」
(5)静岡県榛原郡川根本町「徳山の盆踊」
(6)鹿児島県日置市吹上町「伊作太鼓踊り」
(7)兵庫県加西市上万願寺町「東光寺の田遊び・鬼会」
(8)山形県上山市「カセ鳥」
(9)鹿児島県いちき串木野市「市来の七夕踊」
(10)三重県志摩市磯部町「磯部の御神田」
(11)東京都大田区大森「水止舞」
(12)奈良県吉野町金峯山寺「蓮華会・蛙飛び行事」
(13)埼玉県鶴ヶ島市「脚折雨乞」

8月13日(土)、『ニッポンのマツリズム~盆踊り・祭りと出会う旅』刊行記念イベントが浅草で開催!

8月13日(土)は新刊「ニッポンのマツリズム」の刊行記念イベントが浅草「村のバザール」で開催。

7インチをリリースしたばかりのアラゲホンジがアコースティック・セット「お座敷ホンジ」でここだけの特別なステージを披露してくれるほか、僕らの祭りトーク&映像上映会(過去上映していない映像も持っていきます!)&祭りDJ、ケイコ・K・オオイシの写真展という盛り沢山の内容。「村のバザール」の美味しいご飯とお酒ももちろんあり〼。
土曜の午後をゆったりとお楽しみいただけたらと思っております。ぜひ遊びにきてください〜!

詳細はこちらまで:https://www.facebook.com/events/1168058059919385/?notif_t=plan_user_associated&notif_id=1470056878178268

『ニッポンのマツリズム~盆踊り・祭りと出会う旅』、好評発売中!


毎年のことですが、B.O.Nの夏は大忙し。祭り取材が多いのは夏に限ったことではありませんが、やっぱり盆踊りシーズンに入ってくると取材の本数も増加します。

加えて、今年は7月に新刊『ニッポンのマツリズム~盆踊り・祭りと出会う旅』が出たこともあって、ありがたいことにラジオやイベントの出演も多数。『ニッポン大音頭時代』を出した昨年に続いて忙しい夏を過ごしております。


こちらは7月20日、荻上チキさんがパーソナリティーを務めるTBSラジオ「Session-22」に出演させていただたいた際のカット。「Session-22」には過去何度となく出演させていただいたこともあって、とてもリラックスしてお話することができました。

『ニッポンのマツリズム~盆踊り・祭りと出会う旅』も好評発売中。
アルテスパブリッシングのホームページから購入することもできますので、近所の書店に置いてない!という方はこちらからどうぞ(送料無料!)。http://artespublishing.com/books/86559-145-3/

また、お伝えできておりませんでしたが、月刊「サイゾー」で新連載「マツリ・フューチャリズム」がスタートしております。こちらはオーセンティックな盆踊り・祭りに焦点を絞った『ニッポンのマツリズム~盆踊り・祭りと出会う旅』から一転、伝統や地域の習俗にとらわれることなく、新しい様式を次々に生み出す「進化系盆踊り」がテーマ。初回と二回目では荻野目洋子「ダンシング・ヒーロー」が盆踊りに定着した謎に迫っております。https://cyzo.co.jp/magazine/

というわけで、現在の連載は「あなたの知らないニッポンの祭り」(DISCOVER JAPAN)、「マツリ・フューチャリズム」(月刊サイゾー)、「REAL Asian Music Report」(Mikiki)、「THE NEW GUIDE TO JAPANESE TRADITIONAL MUSIC」(CDジャーナル)という4本となります。『ニッポンのマツリズム~盆踊り・祭りと出会う旅』ともども皆さまヨロシクお願いいたします!

修験道の故事にちなむ、ユニークで型破りな伝統行事――奈良県吉野町・金峯山寺「蓮華会・蛙飛び行事」

今週は奈良県吉野町の金峯山寺で行われる伝統行事「蓮華会・蛙飛び行事」へ取材に行ってきました。

「蛙飛び行事」とは修験道の教えに基づく故事をモチーフとしたもの。いわく――むかしむかし、とある男が山伏を侮辱してしまいます。男は鷲によって断崖絶壁へとさらわれるも、後悔する姿を見た高僧が男を蛙へと変え、おかげで山から降りることができたといいます。だが、男は蛙のまま。僧侶の読経の功徳によって男はようやく人間へ戻ることができたのでした――そんな故事をそのまま再現したのがこの「蛙飛び行事」です。
 「蛙飛び行事」は大青蛙を乗せた太鼓台を金峯山寺周辺で担ぐところから始まります。太鼓台の上の蛙はなぜか上機嫌。沿道の人々に手を振ったりと愛想を振りまいています。その後、金峯山寺の境内へと担ぎ込まれた蛙は、僧侶の読経によって人間の姿へと戻ることとなります。

この「蛙飛び行事」、一種の奇祭としても広く知られていますが、蓮の花を蔵王権現に供える蓮華会の一環として行われる紛れもない宗教儀式。「蛙飛び行事」の当日、奈良県大和高田市・奥田の捨篠池(修験道の開祖、役行者が産湯を浸かったとも言われる池)で行われた「奥田蓮取り行事」へも取材にいきましたが、ここで行者によって刈り取られた蓮の花は金峯山寺の蓮華会で供えられることになります。

「蛙飛び行事」もこうした宗教儀式の一環として行われているわけで、単に奇妙奇天烈なだけの伝統行事ではないのです。修験道の故事をモチーフとしながらこれほどまでにユニークな祭りを作り上げたかつての人々の豊かなイマジネーションにも驚かされるばかり。その背景をしっかり踏まえると、可愛らしい蛙の所作も奥深いものに見えてくる……かも?

「蓮華会・蛙飛び行事」の取材記事は月刊「DISCOVER JAPAN」(エイ出版)の連載にて。http://discoverjapan-web.com/

なお、今回の取材では高野山や三輪山も回る弾丸スケジュールを強行。高野山は短時間の滞在時間ながら、金剛峯寺と壇上伽藍の金堂・根本大塔、奥の院を駆け足で回ることができました。なかでも空海の御廟と灯籠堂には本当に感動したな……次回はゆっくり滞在してみたいものです。

7月上旬、新刊『ニッポンのマツリズム~盆踊り・祭りと出会う旅』が刊行!

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約1年ぶりの新刊、出ます!
2010年以降の僕とケイコ・K・オオイシの盆踊り・祭りフィールドワークの成果(の一部)をまとめた新刊『ニッポンのマツリズム〜盆踊り・祭りと出会う旅』がアルテス・パブリッシングから7月初旬に刊行。書影や詳細が出版のウェブサイトにアップされたので、まずは告知第一弾を。

都市文化研究という側面もあった前作『ニッポン大音頭時代〜「東京音頭」から始まる流行音楽のかたち』(河出書房新社)と比べると、今回は盆踊りや祭りを通して「日本のもうひとつの姿」に触れた際の興奮や感動もそのまま書いたため、一種のノンフィクションとしても読めるのではないかと思います。祝祭感溢れるケイコ・K・オオイシの写真もたっぷり掲載。ここ数年の僕らのライフワークの一部をようやく一冊にまとめることができて、本当に感無量です。自分でも言うのもナンですが、大自信作です!

なお、この後各地で祭り映像上映会なども予定。ようやく祭りを巡る最初の5年間の成果を世に出すことができたので、ここからは次の5年後に向けて旅を始めたいと思います。

『ニッポンのマツリズム〜盆踊り・祭りと出会う旅』
大石始[著]
ケイコ・K・オオイシ[写真]

出版:アルテス・パブリッシング
定価:本体 2000 円【税別】
四六判変型・並製288頁
発売日:2016年7月8日
ISBN:978-4-86559-145-3 C1073
ジャンル:音楽/伝統芸能/ノンフィクション
ブックデザイン:中島美佳

青森、秋田、東京から徳島、奄美、沖縄まで、祭りの中で見つけたもうひとつの日本!

「祭りと盆踊りと出会う旅とは、僕にとってはそれまでまったく知らなかった日本列島の姿を発見する旅でもあった〜取材のたびに日本列島の新しい姿と出会い、驚かされてばかりいる」(あとがきより)

2010年の夏、「高円寺阿波おどり」と「錦糸町河内音頭大盆踊り」に衝撃を受けた著者は、以来南米のカーニバルやレイヴ・パーティーにも通じる祝祭感、高揚感のなかに、いまだ見知らぬ列島の姿を求めて、日本各地の祭りを追いかけている。本書にはそんな旅のなかから、北は青森、秋田、南は奄美、沖縄まで、全国13の盆踊り・祭り体験を収録!

【著者が訪ねた盆踊り・祭り】
大川平の荒馬踊り(青森県)、五所川原立佞武多(青森県)、西馬音内盆踊り(秋田県)、秩父夜祭(埼玉県)、錦糸町河内音頭大盆踊り(東京都)、高円寺阿波おどり(東京都)、郡上おどり&白鳥おどり(岐阜県)、磯部の御神田(三重県)、阿波おどり(徳島県)、香春町の盆踊り(福岡県)、牛深ハイヤ節(熊本県)、奄美大島のアラセツ行事と八月踊り(鹿児島県)、市来の七夕踊(鹿児島県)、本島と浜比嘉島のエイサー(沖縄県)などなど

詳細:http://artespublishing.com/books/86559-145-3/

七体の巨大な蛇体が練り歩く栃木県小山市の伝統行事「間々田のジャガマイタ」

昨日は栃木県小山市の伝統行事「間々田のジャガマイタ」(通称「蛇(じゃ)まつり」)に行ってきました。

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この伝統行事は釈迦誕生の際、八大龍王が甘露を降らせて祝福したという故事に基づき、五穀豊穣と疫病退散を祈念して七体の蛇を作り、それぞれの集落から間々田八幡宮まで「ジャーガマイタ、ジャガマイタ」という印象的な掛け声と共に練り歩くというもの。「ジャガマイタ」という不思議な名前は、「蛇(じゃ)が参った」「蛇が巻いた」などの言葉をからきているとか。

このジャガマイタ最大の見せ場は、間々田八幡宮の境内の池で行われる「水呑みの儀」。全長15メートの蛇体ごと池に飛び込むのですが、その姿はまるで本当に蛇が水を飲んでいるかのよう。この後蛇体は集落内を練り歩き、悪霊退散を祈念することになりますが、池に飛び込むというのはおそらく水垢離(水を浴びて身を清め、穢れをとり除くためのもの)の意味合いもあるのでしょう。
また、七体の蛇体の作りはすべて異なっていて、ギラギラとした派手なものがあれば、地味ではあるもののクールな頭もあって、見飽きることがありません。

このジャガマイタもまた、観光客誘致を目的のひとつとするようになった高度経済成長期以降、それまで旧暦の4月8日(釈迦降誕の日)と決められていた開催日を5月5日の子供の日に移したり、祭りとしてのテーマをはっきり打ち出すために「八大龍王」と書かれた旗を伴うようになったりと、多くの変革が行われてきました。現在は全長15メートある蛇体も昭和初期までは50メートルもの長さがあったそうで、それが道路事情などの理由から現在の長さまで短くなったのだとか。
社会の変貌に対応しながら、400年もの長きに渡って継承されてきたとされる北関東有数の奇祭「ジャガマイタ」。八大龍王信仰をルーツとするその背景もふくめ、とても興味深い祭りでした!


ジャカルタのフィメール・ラッパー、YACKOとJAVABASS SOUNDSYSTEM

インドネシア・ジャカルタ出身のフィメール・ラッパー、YACKOのニューチューン。彼女らしい威勢のいいラップがかなり強烈ですが、JAVABASS
SOUNDSYSTEMのDJランダムによるトラックが完全にBASS仕様で最高です。ジャカルタのBASS系シーンもかなり盛り上がっているようですね。

https://www.youtube.com/channel/UC5b2xxbpfTiXbHfdvDAsqdA

JAVABASS Recordingsからの最新作はドラムンベース系ユニット、CVX。

謎を秘めた中国・成都のラップ・ミュージック・シーン

昨年末まで文化放送の「MAU LISTEN TO THE EARTH」という番組でアジア各国のローカル・シーンの情報を定期的に発信してきたのですが、現在そうした情報発信はミュージック・レヴュー・サイト「Mikiki」でやらせていただいている連載「REAL Asian Music Report」のみ。というわけで、当然のごとくネタは溜まっていく一方です。
こちらのブログは主に自分の活動を報告する場としてきたのですが、アジアネタも含む音楽情報も定期的に更新していくことにしました(自分のメモ代わりという意味合いもあり)。

今回ご紹介するのは中国は成都市のラップ・グループ、Higher Brothersの「野猪儿 Black Cab」。リリックの内容は分かりませんが、ビートはゴリゴリのトラップ!

どうやら成都は中国におけるラップ・ミュージックの中心地のひとつになっているようで、Youtubeにはチェンドゥ・ラップ(Chengdu Rap)の興味深いPVが大量にアップされています。



何なんだろう、異常にそそられるこの感じは。北京や上海のアンダーグラウンド・シーンには関心を持っていたのですが、成都はノーチェックでした。ちょっと背景も含めて調査してみようと思います。