B.O.N’s Recommend discs 8 – VARIOUS ARTISTS / 街角のうた 書生節の世界

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VARIOUS ARTISTS / 街角のうた 書生節の世界(大道楽レコード)
ソウル・フラワー・モノノケ・サミットの95年作『アジール・チンドン』で添田唖蝉坊を知り、さらにディープな日本の歌を知りたくなってこのコンピレーションを買った。唖蝉坊が切り開いた壮士演歌の先に華開いた大正時代の書生節が収められており、江戸の大道芸と昭和のレコード歌謡の狭間で歌われたユーモラスな楽曲が並ぶ。壮士演歌同様、どの曲にも社会風刺がピリリと効いていて、つい〈日本のカリプソ〉などとも呼びたくなってしまう。細川周平さんと岡田則夫さんのライナーノーツも実に読み応えがある。これぞマスターピース。(大石始)

B.O.N’s Recommend discs 7 – 小杉真貴子 / 佐渡おけさ(新潟県民謡)

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小杉真貴子 / 佐渡おけさ(ビクターレコード)
熊本は牛深で生まれ、日本各地へと伝搬された“ハイヤ節”系民謡のなかでももっとも広く知られているのが、新潟は佐渡育ちのこの歌かもしれない。68年に発表されたこのシングルは、途中で“ぞめき““選鉱場”というパートが入るヴァージョン。ハイヤ系特有の三味線の南方系ループで始まり、太鼓がビートを刻み始めると同時にテンポアップしていくキラーな仕上がり。新潟生まれの民謡歌手、小杉真貴子のどこまでも伸びる歌声も実にソウルフルで、ゴスペル的なフィーリングすら放出。彼女にとってはデビュー直後の録音となるが、その歌唱はすでに圧倒的だ。(大石始)

B.O.N’s Recommend discs 6 – 四代目・堀込源太 / 八木節(栃木・群馬県民謡)

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四代目・堀込源太 / 八木節(ビクターレコード)
日本民謡屈指のファンク・チューン!もともとは幕末のころ八木宿(栃木県足利市福居町八木)で歌われた盆踊り歌。そのルーツには諸説あるが、幕末の大ヒット曲だった越後の“新保広大寺くずし”が八木でローカライズされ、同地の盆踊り歌の名手だった堀込源太(1872〜1943)が国定忠治の物語を折り込むなどして現在の形になったとされる。アフロ的とも言えるビートから高揚感溢れる歌い出しに至るスリリングなイントロが鳥肌モノで、一種のディープ・ファンクとして聴くことも可能。ファンクネス漲る四代目・堀込源太の歌唱も素晴らしい。(大石始)

B.O.N’s Recommend discs 5 – 高橋竹山 / 津軽三味線

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高橋竹山 / 津軽三味線(CBS SONY)
なんて瑞々しくて生命力溢れるグルーヴなんだろう!津軽三味線というと曲芸じみたトリッキーな演奏にスポットがあたりがちだが、問答無用の津軽レジェンドの演奏にはナチュラルなスウィング感があり、津軽の活き活きとした表情が顔を覗かせる。演目は“じょんから節”“よされ節”“おはら節”という津軽の代表曲で、部分的に語りが入る。降り積もった雪の山をも溶かす、熱くソウルフルな北国のファンク・ブルース。1973年12月、東京・渋谷ジァンジァンで行われた歴史的ライヴ・パフォーマンスを収めた名作中の名作。(大石始)

B.O.N’s Recommend discs 4 – 月乃家小菊 / 踊れ大阪総おどり

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月乃家小菊 / 踊れ大阪総おどり(歌舞音曲)
河内音頭・江州音頭の会派、月乃家会のホープが歌う新時代の音頭。まるでアフリカのジュジュのようなギタープレイに耳を惹き付けられるが、注目したいのはカップリングの“気持ちヨホホイホイ”、しかもそのダブ・ヴァージョン。手掛けるのはジャマイカの伝説的エンジニアにして、NYのガラージ・クラシックスにも関わってきたスティーヴン・スタンレイ。江州音頭が元来持っていた土着的で深淵な魅力が、ジャマイカン・スタイルの深いダブワイズによって亡霊のごとく立ち上がる。主役の歌声にもラヴァーズ・ロック的可愛らしさが。(大石始)


こちらがそのPV。ノリノリで宅をイジるスティーヴン・スタンレイが凄い。これぞジャマイカン・スタイリー!

B.O.N’s Recommend discs 3 – 三波春夫 / 交通安全音頭

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三波春夫 / 交通安全音頭(テイチク)
企画・東京交通安全協会、推薦・警視庁交通部。83年リリース。昭和を代表するエンターテイナーが交通安全を歌う品行方正な音頭……と思いきや、B面の“交通安全でろれん音頭”はそのタイトルどおり、デロレン祭文(浪花節や江州音頭のルーツのひとつとも言われる祭文)をもじったもの。さすが日本古来の芸能を知り尽くした三波春夫。曲自体にさほど面白みはないが、御大の歌唱と言葉には時代を超えた味わいがある。いわゆる〈モンド音頭〉文脈から評価されることもある一枚で、ここでは御大の洒落っ気とプライドも感じ取りたい。(大石始)

B.O.N’s Recommend discs 2 – 江利チエミ / チエミの民謡ハイライツ

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江利チエミ / チエミの民謡ハイライツ(KING)
昭和30年代に訪れた全国的な民謡ブームを受け、大歌手・江利チエミが取り組んだ民謡ラテン・アルバム。十代からジャズを歌い、天才的なリズム感覚を持った彼女だけに、東京キューバン・ボーイズやストリングス・クバーノによるマンボ調のサウンドも楽々と乗りこなす。北は“ソーラン節”、南は“阿里屋ユンタ”まで、選曲はすべて全国の民謡。なかでも福島民謡“相馬盆唄”で聴けるアレサ・フランクリンばりの爆発的歌唱が壮絶。民謡ブーム終焉後、この手の民謡ラテン・アルバムがめっきり世に出なくなってしまったのが惜しい。(大石始)

B.O.N’S Recommend discs 1 – ぞめき壱 高円寺阿波おどり

こちらではB.O.Nオススメの作品を紹介。基本、民謡や音頭、囃子の音源を中心にするつもりです。記念すべき一枚目は…

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VARIOUS ARTISTS / ぞめき壱 高円寺阿波おどり(ABY RECORDS)
個人的には日本のトラディショナル・ミュージックに心を開くきっかけとなった一枚。東京・高円寺の阿波おどり団体(〈連〉と呼ばれる)による演奏を収録。この手の阿波おどり音源集と大きく違うのは、凄まじい低音の響き。「ああ、阿波おどりってベース・ミュージックなんだね!」と思い込んだまま高円寺阿波おどりに乗り込んだものの、その思い込みがまったく正しかったことを現地で知った。高円寺や徳島で受けた感動を本シリーズほど追体験させてくれるものはない。仕掛人は久保田麻琴さん。リスペクト。(大石始)