VARIOUS ARTISTS / 街角のうた 書生節の世界(大道楽レコード)
ソウル・フラワー・モノノケ・サミットの95年作『アジール・チンドン』で添田唖蝉坊を知り、さらにディープな日本の歌を知りたくなってこのコンピレーションを買った。唖蝉坊が切り開いた壮士演歌の先に華開いた大正時代の書生節が収められており、江戸の大道芸と昭和のレコード歌謡の狭間で歌われたユーモラスな楽曲が並ぶ。壮士演歌同様、どの曲にも社会風刺がピリリと効いていて、つい〈日本のカリプソ〉などとも呼びたくなってしまう。細川周平さんと岡田則夫さんのライナーノーツも実に読み応えがある。これぞマスターピース。(大石始)
Category Archives: B.O.N’S Recommend discs
B.O.N’s Recommend discs 4 – 月乃家小菊 / 踊れ大阪総おどり
月乃家小菊 / 踊れ大阪総おどり(歌舞音曲)
河内音頭・江州音頭の会派、月乃家会のホープが歌う新時代の音頭。まるでアフリカのジュジュのようなギタープレイに耳を惹き付けられるが、注目したいのはカップリングの“気持ちヨホホイホイ”、しかもそのダブ・ヴァージョン。手掛けるのはジャマイカの伝説的エンジニアにして、NYのガラージ・クラシックスにも関わってきたスティーヴン・スタンレイ。江州音頭が元来持っていた土着的で深淵な魅力が、ジャマイカン・スタイルの深いダブワイズによって亡霊のごとく立ち上がる。主役の歌声にもラヴァーズ・ロック的可愛らしさが。(大石始)
こちらがそのPV。ノリノリで宅をイジるスティーヴン・スタンレイが凄い。これぞジャマイカン・スタイリー!
B.O.N’S Recommend discs 1 – ぞめき壱 高円寺阿波おどり
こちらではB.O.Nオススメの作品を紹介。基本、民謡や音頭、囃子の音源を中心にするつもりです。記念すべき一枚目は…
VARIOUS ARTISTS / ぞめき壱 高円寺阿波おどり(ABY RECORDS)
個人的には日本のトラディショナル・ミュージックに心を開くきっかけとなった一枚。東京・高円寺の阿波おどり団体(〈連〉と呼ばれる)による演奏を収録。この手の阿波おどり音源集と大きく違うのは、凄まじい低音の響き。「ああ、阿波おどりってベース・ミュージックなんだね!」と思い込んだまま高円寺阿波おどりに乗り込んだものの、その思い込みがまったく正しかったことを現地で知った。高円寺や徳島で受けた感動を本シリーズほど追体験させてくれるものはない。仕掛人は久保田麻琴さん。リスペクト。(大石始)