新刊『盆踊りの戦後史 「ふるさと」の喪失と創造』(筑摩書房)が発売されました!
アラレちゃん音頭やダンシングヒーロー、バハマ・ママがかかる「非伝統的」な盆踊りは、戦後の新しいコミュニティーにおいてどのように機能してきたのか? 埼玉県の国道16号線近くの地域で育ち、故郷と呼べる場所のない自分としては、いつか向き合わなくてはいけないテーマだとも思っていましたが、今回ようやく形にすることができました。
団地や新興住宅地だけでなく、川崎や釜ヶ崎といった労働者の街、いちょう団地など多くの移民たちが住む地区、震災で甚大な被害を被った被災地など、さまざまなコミュニティーの変遷を辿りながら考えてみました。2015年に出した『ニッポン大音頭時代』と対になる内容でもあります。
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『盆踊りの戦後史 「ふるさと」の喪失と創造』
2020年12月17日発売
定価:本体1,600円+税
ページ数:256
ISBN:978-4-480-01719-2
JANコード:9784480017192
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480017192/
●第一章 日本の近代化と盆踊り――明治〜昭和初期
近代化以前/性のエネルギーを発散する場/盆踊りの禁止/レコード・ラジオの発展/「東京音頭」の大ヒット/振り付けと新舞踊運動/踊りコンテスト/プロバガンダとしての音頭・盆踊り ほか
●第二章 戦復興と盆踊りの再生――昭和二〇〜三〇年代
戦没者供養という原点/再編される地縁団体/民謡ブームにのって/国内観光ブームの影響/レクリエーション・ダンスとして/北海道の独自な盆踊り文化 ほか
●第三章 高度経済成長期の新たな盆踊り空間――昭和三〇〜四〇年代
故郷喪失者たちが夢見た「ふるさと」/日本共産党後援会が立ち上げた盆踊り/釜ヶ崎夏祭り/地域で親しまれている工場盆踊り/「新しい街」としての団地/千葉県柏市光が丘団地/岐阜県瑞穂市本田団地/福岡県北九州市土取団地/東京都東久留米市滝山団地 ほか
●第四章 団塊ジュニア世代と盆踊り――昭和五〇年代
「ディスカバー・ジャパン」の時代/多摩ニュータウンの盆踊り/千里ニュータウン/千葉ニュータウン/団塊ジュニアはアニソン音頭で踊る/新スタンダードは地域で突然現れる/バハマ・ママ音頭とレクリエーション・ダンス ほか
●第五章 バブル最盛期の盆踊りと衰退――昭和六〇年代〜平成初期
コミュニティーの破壊と再生/西神田ファミリー夏祭り・盆踊り/「ダンシング・ヒーロー」がなぜ盆踊りになったのか/ダンス・パフォーマンスとしての祭り――YOSAKOIソーラン祭り以降/バブル崩壊と阪神・淡路大震災 ほか
●第六章 東日本大震災以降の盆踊り文化――平成後期〜現在
東日本大震災以降の盆踊り人気/プロジェクトFUKUSHIMA!と「ふるさと」の創造/「DAIBON」――従来の演目のアップデート/にゅ〜盆踊り――ダンスカンパニーとの協働/高島おどりと徳山おどり/YouTube以降のカルチャーとしての盆踊り/被災地と盆踊り/復興公営住宅の盆踊り大会/盆踊りと移民/埼玉県川口市芝園団地/神奈川県横浜市・大和市いちょう団地 ほか
●終章 アフター・コロナ時代の盆踊り――二〇二〇年夏に考える
盆踊りのない夏/オンライン盆踊りの試み/さまざまな縁を結び直す場としての意義/死者と生者の交わる場所 ほか