ジャマイカのナイヤビンギに日本の土突き唄との共通性を見い出す?

数年前に日本の民謡を意識的に聞き出したとき、僕には古い漁師唄や作業唄がジャマイカのナイヤビンギのように聴こえたものでした。北海道の鰊場作業唄なんて、ジャマイカのラスタ・コミュニティーで見聞きしたものとほとんど同じものにも思えたぐらいで。

もちろん、民謡のことを知るうちに両者をそう簡単に結びつけられるもんじゃないことも分かってくるわけですが、今日、仕事の資料として久々に自宅のナイヤビンギ・アルバム数枚を聴くなかで脳裏に浮かび上がってきたのは、やっぱり「エンヤートット!」といった斎太郎節のフレーズでした。僕が聴いていたのはラス・マイケル&ザ・サンズ・オブ・ニガスやカウント・オジー&ザ・ミスティック・リベレーション・オブ・ラスタファリなんかのアルバムだったんですが、曲によっては土突き唄や餅つき唄を思い出すものもあった!

そういえば、以前PAPA U-GEEさんのアコースティック・ライヴを拝見したとき、U-GEEさんはビンギドラムをバチ(マレット?)で叩くだけじゃなく、バチで「突いて」いて、そのアクセントがナイヤビンギのリズムを作り出していることを知りました。土突き唄とナイヤビンギに土を/ドラムを「突く」唄という共通性があるんだとすれば、リズムが近いものになっていくのも納得がいく話。民謡研究家の竹内勉さんは作業の動作内容によって作業唄のリズムやテンポが異なってくることを著作で指摘していましたが、その指摘をもとにナイヤビンギと民謡の共通性を紐解いていくこともできるんじゃ……なんてことをふと考えました。こうやって、以前聞き親しんだ音楽から新しい側面が浮かび上がってくるのが何よりも楽しいのです。