沖縄中部〜福岡・築豊の旅

B.O.Nの2人は初夏から日本全国を飛び回る日々が続いています。目的はもちろん各地の盆踊り〜祭り取材。今年は「南へ」をテーマに掲げ、各地をバタバタと動き回っています。

ワタクシ大石始がまず向かったのは沖縄県中部。沖縄では旧暦の7月13日から15日までがお盆にあたるのですが、今年は8月8日から10日がお盆にあたります。1日目の8日はウンケー(お迎え)、9日はナカビ、そして最終日10日はウークイ(見送り)となり、連日さまざまな行事が行われます。
今回の取材の目的はエイサー。それもガーエー(もしくはオーラセー)と呼ばれる喧嘩エイサーを体験すべく、コザ(沖縄市)を中心に中部を移動し続けました。結果から申し上げると、オーラセーは「喧嘩の入り口」を体験したのみに終わりました。
ただし、仏壇のあるお宅を少人数編成で一軒一軒回る浜比嘉島の素朴で心温まるエイサーや、女性のみで歌い踊られる屋慶名のウシデークなど、予想もしていなかったものを観ることができたので大満足!仏教伝来以前の伝統と地続きになっているウシデークを見ながら、古来からの祖霊信仰と仏教が複雑に混ざり合った沖縄の魅力を再認識しました。また、内地(ヤマト)との繋がりのなかで沖縄の芸能を見ていくことで、日本列島のもうひとつの姿が浮き上がってくるような気がしました。こちらは原稿にまとめる段階であらためて向き合わないといけないテーマでしょう。

(こちらの写真はiPhoneで撮影したものです)
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また、今回は沖縄のアンダーグラウンド・シーンのおもしろさにも触れることもできました。エイサーを追いかけて夜な夜な取材に同行してくれたマコトくんはHARIKUYAMAKUという名義でも活動していて、彼は素晴らしいオキナワン・ダブ作品を制作しているプロデューサーであるほか、コザの商店街「銀天街」を拠点とするダブ・バンド、銀天団のダブワイザーでもあります。11日には那覇の美栄橋のDJバー「On」でDJもやらせていただいたのですが、そちらも素晴らしい場所でしたし、沖縄はまた近々再訪しないといけなさそうです。

12日からは福岡へ(ここでケイコ・K・オオイシが合流)。今年の3月まで福岡のラジオ局「LOVE FM」で自分の番組「ASIAN MUSIC JOURNAL」をやっていたこともあり、福岡は何かと縁のある場所なんですが、今年は福岡の筑豊へお邪魔しました。こちらの目的は田川市各地で行われる盆踊り。なかでも香春(かわら)町に焦点を絞り、現地の関係者のみなさまにお話を伺ってきました。
15日に香春町運動公園で行われる大きな盆踊りは多少県外でも知られているものの、僕らの目的はそちらではなく、13日と14日の2日間、初盆のお宅を一軒一軒回る供養の盆踊り。こちらについてはネットや資料を調べてもほとんどといっていいほど情報がなかったのですが、田川が地元の友人とそのご家族・ご親戚・お知り合いの強力バックアップにより、とても興味深い取材となりました。

田川の盆踊りのおもしろいところは、初盆のお宅を一軒一軒回る供養の盆踊りでありながら、太鼓(大太鼓+締め太鼓)のリズムに合わせ、音頭取り的な役割を果たす「口説き」が河内音頭にも似た「口説き」を聞かせてくれるところ。そして、その太鼓と口説きに乗り、盆踊り団体のメンバー(といっても10人程度の少人数)がステップを踏んでいきます。初盆のお宅を回る供養の儀式というと、福島はいわき市のじゃんがら念仏踊りが思い出されますが、それよりもよりアットホーム。宴もたけなわとなると、喪服を着ていたご遺族もジャケットを脱ぎ捨てて踊りの輪へ。僕ら取材班も踊りの輪に巻き込まれ、なんとも楽しい供養の盆踊りとなりました。
筑豊のパブリックイメージというと、荒廃した元・炭坑の街、暴走族、生活保護……というネガティヴなものかもしれませんが、知られざる田川の盆踊りから見えてきたのは、田川のみなさんの活き活きとした歌やリズムであり、活き活きとした生活そのものでした。田川、本当にいいところでしたよ。

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そんなわけで、沖縄〜福岡ともにたくさんの皆さんに助けていただきました。本当にありがとうございました!
なお、こちらのレポートは「アルテス電子版」の連載「まつりの島」にて掲載予定。最新号では「天草の『風待ちの港』で阿波おどりのルーツと出会う─ 徳島阿波おどり〜熊本・牛深ハイヤ節(後編)」と題し、阿波おどりのルーツを求めて熊本県牛深へ。SOUL FLOWER UNIONのあの名曲のモチーフにもなった「牛深ハイヤ節」に隠された、とあるラヴストーリーを紐解いています。前編/後編あわせ、あまり前例のない阿波おどり論になってるんじゃないかと思います。ぜひ読んでみてください!

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