先週木曜日からは約4日ぶりに鹿児島へ。今回は日置市吹上町で伝えられている伊作太鼓踊りを取材してきました。薩摩半島ではとてもユニークな太鼓踊りが各地で継承されているのですが、装束の奇抜さではこの伊作太鼓踊りがダントツ。そのため以前から一度ナマで体験せねばと考えていたのですが、このたびようやく初体験することができました。
8月28日(金)の朝イチで奉納が行われるのは、集落の奥まった地に鎮座する南方神社の境内。鬱蒼と茂った木々に囲まれながら奉納される太鼓踊りは想像以上の大迫力です。相撲の行事が持つ軍配を模した矢旗がひときわ目を引きますが、背中には薩摩鶏の羽で作ったホロが飾り付けられていて、その姿はまるでグラムロッカーのよう。その中心で鉦を叩くのは、花籠を被った中打ちたち。女性に扮した少年~青年たちのそのステップは確かに念仏踊り的で、祖霊供養を目的とする念仏踊りとかねてからの虫送りの風習などが複雑に入り混じった薩摩の太鼓踊りの魅力を再認識しました。
そして何よりも強い印象を残したのが、強烈なグルーヴとダイナミックなステップ!ほとんどブラジルのカーニバルのようで、観ているだけで胸の奧から熱いものがこみ上げてくるのが分かります。この感覚、阿波踊りを初めてナマで体験し、大感動した瞬間に覚えたものとも似ているかも。自分が住む列島にこれほどまでにカラフルで鮮やかな芸能が息づいているなんて、ホント衝撃です。久々のカルチャーショック!
そんなわけで、あまりに素晴らしい伊作太鼓踊りを体験したことによって、自分のなかの「日本像」はまたもや大きく揺らいでしまいました。そして、僕らは生活のなかで固定化されがちなこの列島に対するイメージを自分たち自身で揺さぶるため、こうして各地の祭りを渡り歩いているのかもしれません。
伊作太鼓踊りの取材後は、阿久根市のとある漁村に住む友人夫婦、ハマちゃんとショウコちゃんのお宅でお世話になりました。彼らが住むのはカマドのある素敵な古民家。虫の鳴き声しかしない静かな夜、久々にぐっすりと眠ることができました。阿久根の海の幸もたっぷりいただき、大感謝。2人の優しさが身に沁みました。ハマちゃん、ショウコちゃん、お世話になりました!(大石始)