月刊「DISCOVER JAPAN」でB.O.Nの新連載がスタート!

枻出版社の月刊誌「DISCOVER JAPAN」で僕とケイコ・K・オオイシの新連載が始まりました!
タイトルは「あなたの知らないニッポンの祭り」。日本の祭りなのに、どこかエキゾチックで異国のものにしか思えないディープな祭りをご紹介。あなたの知らない「ニッポン」がここにあります。
なお、この連載もいずれ単行本化したいと考えてます。僕らとしては「日本版WILDER MANN」というイメージもちょっとあるかな。

一回目は9月5日発売の今月号から。初回は伊勢市円座町の「かんこ踊り」です!
詳細はこちらからどうぞ。
http://discoverjapan-web.com

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日本顔負けの熱気に溢れる「マレーシア・クアラルンプールの盆踊り」

昨夜までマレーシアのクアラルンプールに行ってきました。
現在関わっている某プロジェクトの視察と打ち合わせも兼ねたものだったのですが、祭りジャーナリストとしてのメインは、シャー・アラム駅近くの巨大スタジアムを舞台に行われる巨大盆踊り。クアラルンプール日本人会が主催となって70年代半ばから続けられているこの盆踊り、1日で実に3万人ものを人々が訪れるというビッグ・フェス。しかも参加者のほとんどがマレーシア人!

マレーシアでは他のアジア諸国同様、80年代より日本のアニメやマンガ、ドラマが受け入れられ、現在まで高い人気を誇っています。加えてマハティール(元)大統領が進めた東方政策により、日本との間で盛んな経済交流・文化交流が行われてきました。そのようにかねてから友好関係を結んできた両国だけに日本人会主催の盆踊りぐらい行われていても不思議ではないし、その手の国際交流イベントは日本でもよくあるものですが、会場に足を踏み入れてビックリ。予想を遥かに上回る規模と熱気!「誰かにやらされてる」国際交流イベントとは全然違う!

踊られる演目は「東京音頭」「大東京音頭」「花笠音頭」など。踊りの輪に入って撮影をしていたら、その熱気に圧倒されてしまいました。また、トゥドゥン(マレーのヒジャブ)に浴衣を合わせたお洒落レベルの高いコーディネイトのマレー・ギャルもたくさんいましたが、彼女たちの浴衣の着こなしも実にキマっていて、普段から日本文化に愛着と関心を持っていることが伝わってきました。「親日」とかのレヴェルじゃないんですよ、本当に。

とはいえ、僕が書きたいのは、昨今世に溢れている「日本の文化は海外でこんなに愛されているんだ!」という日本礼賛記事ではありません。
クアラルンプール盆踊りで一番感銘を受けたのは、盆踊りという「日本文化」の凄さというよりも、異国の文化に対するマレーシアの人々の懐の深さ。これまでのマレー半島の歴史とマレーシアという国家の成り立ちを考えてみると、その懐の深さは10年20年で育まれたものではないような気もします。
また、世界各地で見られる「一緒に踊る」というカルチャーの強みと魅力、奥深さも再認識させられました。こういうものをただの「モンドな盆踊り」として捉えるべきじゃないし、そんな単純なものではないと強く思います。

そんなわけで考えさせられることはあまりに多く、いまだ思考が整理できていない状態ではありますが、クアラルンプール盆踊りをきっかけに僕らの「日本文化」探求もどうやら次のステップへ進みつつあるようです。

なお、貼り付けた動画は僕がiPhoneで撮影したもの。もちろん、ちゃんとしたビデオで撮影したものもあります。盆踊り後半のより熱気を増した踊りの輪の映像は、今後トークイベントなどでご紹介していきます。また、レポートとケイコ・K・オオイシさんによる写真は「ソトコト」誌で掲載させていただく予定です。

まるでブラジルのカーニバル?鹿児島県日置市吹上町の「伊作太鼓踊り」

先週木曜日からは約4日ぶりに鹿児島へ。今回は日置市吹上町で伝えられている伊作太鼓踊りを取材してきました。薩摩半島ではとてもユニークな太鼓踊りが各地で継承されているのですが、装束の奇抜さではこの伊作太鼓踊りがダントツ。そのため以前から一度ナマで体験せねばと考えていたのですが、このたびようやく初体験することができました。

20150901-142250.jpgPhoto by KEIKO K. OISHI

8月28日(金)の朝イチで奉納が行われるのは、集落の奥まった地に鎮座する南方神社の境内。鬱蒼と茂った木々に囲まれながら奉納される太鼓踊りは想像以上の大迫力です。相撲の行事が持つ軍配を模した矢旗がひときわ目を引きますが、背中には薩摩鶏の羽で作ったホロが飾り付けられていて、その姿はまるでグラムロッカーのよう。その中心で鉦を叩くのは、花籠を被った中打ちたち。女性に扮した少年~青年たちのそのステップは確かに念仏踊り的で、祖霊供養を目的とする念仏踊りとかねてからの虫送りの風習などが複雑に入り混じった薩摩の太鼓踊りの魅力を再認識しました。
そして何よりも強い印象を残したのが、強烈なグルーヴとダイナミックなステップ!ほとんどブラジルのカーニバルのようで、観ているだけで胸の奧から熱いものがこみ上げてくるのが分かります。この感覚、阿波踊りを初めてナマで体験し、大感動した瞬間に覚えたものとも似ているかも。自分が住む列島にこれほどまでにカラフルで鮮やかな芸能が息づいているなんて、ホント衝撃です。久々のカルチャーショック!
そんなわけで、あまりに素晴らしい伊作太鼓踊りを体験したことによって、自分のなかの「日本像」はまたもや大きく揺らいでしまいました。そして、僕らは生活のなかで固定化されがちなこの列島に対するイメージを自分たち自身で揺さぶるため、こうして各地の祭りを渡り歩いているのかもしれません。

伊作太鼓踊りの取材後は、阿久根市のとある漁村に住む友人夫婦、ハマちゃんとショウコちゃんのお宅でお世話になりました。彼らが住むのはカマドのある素敵な古民家。虫の鳴き声しかしない静かな夜、久々にぐっすりと眠ることができました。阿久根の海の幸もたっぷりいただき、大感謝。2人の優しさが身に沁みました。ハマちゃん、ショウコちゃん、お世話になりました!(大石始)

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東京最高のブロックパーティー「錦糸町河内音頭大盆踊り」

8月26日と27日の2日間、今年も東京の夏の風物詩「錦糸町河内音頭大盆踊り」が開催されました。今年は初日だけの参加となりましたが、僕ももちろん錦糸町へ!

20150901-135119.jpgPhoto by HAJIME OISHI

会場内のレイアウトを変更し、ダンスフロアを拡大したことによって舞台上の音頭取りのみなさまとダンサーのみなさまの距離がグッと近くなり、例年以上に会場内のグルーヴも上昇。2011年以来の司家征嗣さんのステージがまた涙モノの素晴らしさで、しみじみと河内音頭の魅力を噛み締めた夜でした。主催者・関係者のみなさま、今年もおつかれさまでした!

なお、錦糸町河内音頭大盆踊りに関しては、2012年春に刊行された「アルテスVol.2 2012 SPRING」(アルテス・パブリッシング)に掲載された僕の連載「まつりの島」でたっぷり触れています。タイトルは「下町に鳴り続ける不死のリズム──錦糸町河内音頭大盆踊り」。ご興味ある方はぜひ読んでみてください!(大石始)

「アルテスVol.2 2012 SPRING」の詳細はこちら。
http://magazine.artespublishing.com/backnumber/『アルテス-vol-02%E3%80%802012-spring』br特集%E3%80%88アップルと音楽〉