『ニッポンのマツリズム~盆踊り・祭りと出会う旅』、好評発売中!


毎年のことですが、B.O.Nの夏は大忙し。祭り取材が多いのは夏に限ったことではありませんが、やっぱり盆踊りシーズンに入ってくると取材の本数も増加します。

加えて、今年は7月に新刊『ニッポンのマツリズム~盆踊り・祭りと出会う旅』が出たこともあって、ありがたいことにラジオやイベントの出演も多数。『ニッポン大音頭時代』を出した昨年に続いて忙しい夏を過ごしております。


こちらは7月20日、荻上チキさんがパーソナリティーを務めるTBSラジオ「Session-22」に出演させていただたいた際のカット。「Session-22」には過去何度となく出演させていただいたこともあって、とてもリラックスしてお話することができました。

『ニッポンのマツリズム~盆踊り・祭りと出会う旅』も好評発売中。
アルテスパブリッシングのホームページから購入することもできますので、近所の書店に置いてない!という方はこちらからどうぞ(送料無料!)。http://artespublishing.com/books/86559-145-3/

また、お伝えできておりませんでしたが、月刊「サイゾー」で新連載「マツリ・フューチャリズム」がスタートしております。こちらはオーセンティックな盆踊り・祭りに焦点を絞った『ニッポンのマツリズム~盆踊り・祭りと出会う旅』から一転、伝統や地域の習俗にとらわれることなく、新しい様式を次々に生み出す「進化系盆踊り」がテーマ。初回と二回目では荻野目洋子「ダンシング・ヒーロー」が盆踊りに定着した謎に迫っております。https://cyzo.co.jp/magazine/

というわけで、現在の連載は「あなたの知らないニッポンの祭り」(DISCOVER JAPAN)、「マツリ・フューチャリズム」(月刊サイゾー)、「REAL Asian Music Report」(Mikiki)、「THE NEW GUIDE TO JAPANESE TRADITIONAL MUSIC」(CDジャーナル)という4本となります。『ニッポンのマツリズム~盆踊り・祭りと出会う旅』ともども皆さまヨロシクお願いいたします!

修験道の故事にちなむ、ユニークで型破りな伝統行事――奈良県吉野町・金峯山寺「蓮華会・蛙飛び行事」

今週は奈良県吉野町の金峯山寺で行われる伝統行事「蓮華会・蛙飛び行事」へ取材に行ってきました。

「蛙飛び行事」とは修験道の教えに基づく故事をモチーフとしたもの。いわく――むかしむかし、とある男が山伏を侮辱してしまいます。男は鷲によって断崖絶壁へとさらわれるも、後悔する姿を見た高僧が男を蛙へと変え、おかげで山から降りることができたといいます。だが、男は蛙のまま。僧侶の読経の功徳によって男はようやく人間へ戻ることができたのでした――そんな故事をそのまま再現したのがこの「蛙飛び行事」です。
 「蛙飛び行事」は大青蛙を乗せた太鼓台を金峯山寺周辺で担ぐところから始まります。太鼓台の上の蛙はなぜか上機嫌。沿道の人々に手を振ったりと愛想を振りまいています。その後、金峯山寺の境内へと担ぎ込まれた蛙は、僧侶の読経によって人間の姿へと戻ることとなります。

この「蛙飛び行事」、一種の奇祭としても広く知られていますが、蓮の花を蔵王権現に供える蓮華会の一環として行われる紛れもない宗教儀式。「蛙飛び行事」の当日、奈良県大和高田市・奥田の捨篠池(修験道の開祖、役行者が産湯を浸かったとも言われる池)で行われた「奥田蓮取り行事」へも取材にいきましたが、ここで行者によって刈り取られた蓮の花は金峯山寺の蓮華会で供えられることになります。

「蛙飛び行事」もこうした宗教儀式の一環として行われているわけで、単に奇妙奇天烈なだけの伝統行事ではないのです。修験道の故事をモチーフとしながらこれほどまでにユニークな祭りを作り上げたかつての人々の豊かなイマジネーションにも驚かされるばかり。その背景をしっかり踏まえると、可愛らしい蛙の所作も奥深いものに見えてくる……かも?

「蓮華会・蛙飛び行事」の取材記事は月刊「DISCOVER JAPAN」(エイ出版)の連載にて。http://discoverjapan-web.com/

なお、今回の取材では高野山や三輪山も回る弾丸スケジュールを強行。高野山は短時間の滞在時間ながら、金剛峯寺と壇上伽藍の金堂・根本大塔、奥の院を駆け足で回ることができました。なかでも空海の御廟と灯籠堂には本当に感動したな……次回はゆっくり滞在してみたいものです。