2007年10月13日、ボリビア・ラパスの日記

旅の日記、今回アップするのは2007年10月13日に書いたボリビア編です。思い返してみると、首都ラ・パスは何とも特徴的で魅力的な町だったな。
なお、この旅ではラ・パスの「一番ホテル」に大変お世話になりました。オーナーの南雲さんには何から何まで助けていただき、今も本当に感謝しております。あれから7年、南雲さんはお元気でしょうか?

どうもこんにちは。
現在、僕らはブラジルのサンパウロにいます。数日前まではブラジル内陸部パンタナールのジャングルでピラニアを釣ったり野生動物を見ながらまったりしていましたが、サンパウロはさすがの大都会。久々の都会生活にいまだ馴染めずにおります。

……さて、ボリビア。
日本人旅行者としては珍しいほうだと思いますが、有名なウユニ塩湖にも近郊のコロイコにも行かず、ほとんどの時間を首都ラ・パスで過ごしました。その理由としては、まずラ・パスの居心地がとても良かったこと。もうひとつは、その標高の高さになかなか身体がついていかなかったことがあります。

ラ・パスという町には不思議な魅力があるんですよ。
インディヘナ率が高いこの町には、山高帽を被ったいかにもインディヘナ!という感じのオバちゃんがたくさんいます。ガヤガヤとした騒々しさもたっぷり。人々の間にも活気があって、どこかインドにも似た雰囲気があるんですね。
じゃあツーリスティックかというと、決してそれだけでもない。もちろん、観光の中心となるサガルナガ通りには欧米の観光客もたくさんいるんですが、少し離れると庶民の生活を垣間見ることができて、それがなによりも楽しい。庶民の街であるエル・アルトの日曜市にも行ってみましたが、こちらも活気があって実に楽しかったな。「地球の歩き方」にはエル・アルトについて「貧民街」と書いてあったけど、どちらかというと「庶民の町」という感じ。まあ、決して治安がいい場所とは言えないでしょうが……。

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ただ、3,650メートルという標高の高さ、これが予想以上にキツイんすよ。エル・アルトなんて4,000メートル越えですからね。多少ペルーのクスコで高地には身体が慣れたかと思ってたんですが、なかなかキツかった。
まず身体が異様にダルイ。少し動いただけでも息が切れるから、動くこと自体がめんどくさくなる。 そんなときに限ってボリビア以降の旅程をまったく決めていなかったものだから、やらなきゃいけないことがあるのに時間だけが過ぎていく。そして、どんどんネガティヴになっていく——。一時は「ひょっとしたら僕らはこの町から抜け出せないんじゃないか?」とすら思いましたからね。
話はズレますが、クンビアという音楽がありますね。コロンビアを原産とし、中南米一帯では非常にポピュラーな音楽のため、ラ・パスでもあちこちでクンビアが鳴ってます。で、高山病でキツイとき、このクンビアのポンスコポンスコという単調なビートが神経に触るんですよ。高山病にかかったことによりクンビアの呪術性のようなものに少しだけ触れることができたのだとすれば、高山病で苦しんだのも決して無駄じゃなかったのかもしれませんが……。

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ラ・パスの音楽事情の話も少々しておきます。
テアトロ・ムニシパル(Teatro Municipal)という歴史ある劇場が街の中心部にありまして、僕らは連日この劇場に通っていました。なぜかフリー・ジャズの大御所であるハン・ベニンクや(ボリビアはかなりジャズが盛んな土地。ハン・ベニンクの前座を務めた地元のトリオもなかなか達者でした)ボリビアン・フォルクローレの面々が出るプログラムも良かったのですが、なによりも会場が素敵。インドはチェンナイのミュージック・アカデミーを思い起こさせる、とても雰囲気のある劇場なんです。しかも入場料が15~30ボリビアーノ(200~450円)。日本でもこんな劇場でライヴを観れたらいいのに!
ラ・パスにはペーニャというフォルクローレ専門のレストランも数多くあるのですが、こちらで演奏されているのは観光客向けのフォルクローレ。あえて言ってしまうならば、「コンドルは飛んでいく」系の「いかにもアンデスのフォルクローレ」といった感じです。
一方、テアトロ・ムニシパルで演奏されているのは、より洗練された現在進行系のボリビアン・フォルクローレ。なかでも2日に渡って単独公演を行ったピライ・バカのライヴは涙ものの素晴らしさでした。ボリビアに来る機会があれば、テアトロ・ムニシパルにはぜひ行ってみてください。良質のボリビアン・ミュージックと出会えますから。

ラ・パスのあとは、ブラジルにも近いサンタ・クルスという街を訪れました。こちらは標高が低いぶん、一気に熱帯らしい暑さに包み込まれていました。タイ南部にも似た、不思議な魅力に溢れた街だったな。少し治安の悪さも感じたけれども。なお、フォルクローレ的にはこのサンタ・クルスも重要地で、ラ・パスのものとは違う、南国らしい陽気さに満ちたフォルクローレの音源を何枚か手に入れることができました。

そんなわけで、ここサンパウロでしばしライヴ鑑賞なぞをしたあとは、リオ・デ・ジャネイロ~サルヴァドールへ。その後は一気にキューバへと飛ぶ予定です。では、また。