茅ヶ崎の夏の到来を告げる「浜降祭」

海の日である昨日7月20日は茅ヶ崎の「浜降祭」に行ってきました。
茅ヶ崎の鶴嶺八幡宮ではかなり古い時代から浜辺での神輿渡御が行われていたと言いますが、「浜降祭」の名物は時に波に飲まれながら海へと入っていく神輿渡御。まさに茅ヶ崎一帯の神社と海の関係性を現在に伝えるものとも言えるのでしょう。

僕らが浜に着いたのは浜降祭合同祭開式が始まった朝7時過ぎだったため、夜明けの幻想的な風景を見ることはできませんでしたが、茅ヶ崎のみならず、八王子など各地域の神社の神輿が全部で32も浜に並ぶ図はなかなか壮観。合同祭終了後、神輿ごと海に入っていく光景にもかなり興奮させられました。やっぱり屈強な男たちといえども、大きな波がやってくると神輿ごと持っていかれちゃうんですねえ。見てるほうもヒヤヒヤさせられます。

また、なかには逞しい「茅ヶ崎甚句」の歌声に合わせて練り歩く神輿もあり、こちらにも大感動。やはり、「鑑賞」や「保存」のためではなく、なんらかの行為のために「機能」している場面というのは胸を熱くさせるものがあります。とある古老が歌う甚句があまりに素晴らしくて、その模様をビデオに収められただけでも茅ヶ崎まで来た甲斐がありました。

祭り終了後は、茅ヶ崎で一番古い(創業昭和24年)という中華そば屋「文美」でチャーハンと餃子。煤けた座敷に座り、扇風機のぬるい風にあたりながら食すオールドスクールなチャーハン……ある意味でパーフェクト!

やはり相模湾一帯の信仰や文化も一度キチンと勉強しなきゃ。そう確信させてくれた初夏の一日でした。

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江戸の盆踊りの姿を伝える佃島の盆踊り

昨夜は佃島の盆踊りへ。佃島には毎年足を運んでいるのですが、ここは東京で唯一残る念仏踊り系の盆踊りで、無縁仏の供養という意味合いをいまだに強く残しています(そのため、踊りの輪の横には無縁仏のための仏壇が)。
佃島はかなりおもしろい歴史のある地なのですが、念仏色の濃い盆踊り歌などからそうした背景が透けて見えるのがこの盆踊りの魅力でもあります。

盆踊り終了後はいつものように月島に移動し、終電間際まで立ち飲み屋でいっぱい。いい夜でした。

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7月28日、久々の単著が出ます!

7月28日、久々の単著が河出書房新社から出ます。タイトルは『ニッポン大音頭時代 「東京音頭」から始まる流行音楽のかたち』。昭和8年の「東京音頭」以降の流行歌の歴史において、音頭はどのように扱われてきたのか。ノヴェルティー音頭やアニソン音頭、アイドル音頭を生み出してきた音頭のメカニズムを探ります。
ここ数年、日本の大衆文化〜伝統文化を意識的に掘り起こしてきましたが、本書はその第一弾。続いて来年初頭には近年の祭り取材の成果をまとめた著作がアルテス・パブリッシングから刊行される予定です。

なお、素晴らしい装丁は矢萩多聞さんによるもの、写真はケイコ・K・オオイシが数年前に藤沢の「遊行の盆」で撮影してきたものです。 矢萩さんは島田潤一郎さんの『あしたから出版社』(晶文社)の装丁などですごく気になっていたので、今回一緒に仕事をさせていただき本当に光栄です。早く現物を手にとりたい!

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[書籍情報]

タイトル:『ニッポン大音頭時代 「東京音頭」から始まる流行音楽のかたち』

著者:大石始

版元:河出書房新社

発売日:2015年7月28日(火)
予定
定価:予価2,300円

判型:46変形並製

ページ数:288ページ

ISBN:978-4-309-27613-7

[内容紹介]
これまで〈語るべきもの〉として見做されず、チープで芸術性の低いものとして考えられてきた日本の伝統音楽・音頭。しかし、その歴史を紐解くと、〈ドドンガドン〉のリズムには流行音楽としての恐るべき秘密が潜んでいた――昭和8年、新作音頭の金字塔「東京音頭」の成立から、社会のかたちやメディアの進化に応じて大衆を鼓舞し、笑わせ、郷愁を誘ってきた音頭。その変幻自在の姿を通じて日本人の〈こころ〉に迫る。

「ニッポン大音頭時代」目次
第一章 音頭はどこからやってきた?
音頭のルーツはどこにある?/「東京音頭」の大ヒットを用意したもの/〈ドドンガドン〉を生み出したのは江戸時代の芸妓たちだった?

第二章 音頭のスタイルを確立した「東京音頭」
ご当地ソングの元祖、地方小唄に「東京音頭」の源流を見る/丸の内の旦那衆が発案した「丸の内音頭」/故郷なき都会人のための〈郷土の歌〉ができあがるまで

第三章 炭坑労働者たちが愛した「炭坑節」
「炭坑節」を育んだ筑豊の炭坑(ヤマ)は歌と芸能の宝庫だった/「炭坑節」誕生秘話/各地のヤマから生まれた、さまざまな「炭坑節」

第四章 国民音楽として収奪された音頭
思想善導のツールとして利用された、戦時歌謡としての音頭/ 「東京五輪音頭」と三波春夫によって強調された音頭の〈民族色〉/「東京五輪音頭」以降にリリー スされた〈国民音頭〉の数々

第五章 冗談音楽として新展開をむかえる音頭
冗談音楽の系譜――スパイク・ジョーンズからフランキー堺とシティ・スリッカーズへ/クレージーキャッツと大瀧詠一が切り拓いた新作音頭の新たな境地/音頭の〈ネタ化〉を強力に押し 進めたザ・ドリフターズ/わるふざけ、無礼講としての音頭――先祖帰りしたコミック音頭

第六章 変わりゆく地域共同体とアニソン音頭
地域共同体の再編とアニソン音頭/「オバQ音頭」とテレビ・アニメ黎明期のメディア・ミックス/アニソン音頭からご当地音頭までを横断するシンガー・ソングライター、山本正之/全国津々浦々に新作音頭を広めたレコード会社各社の施策

第七章 アイドル音頭によって多様化する音頭
企画モノ/ノヴェルティー・ソングとして制作された数々のアイドル音頭/つんく♂が切り拓いたアイドル音頭の新たな可能性/ご当地音頭をアップデートする各地のご当地アイドル

第八章 音頭は海を越え、世界を踊らせる
海の向こうで生まれ、育まれてきたさまざまな音頭/パラグアイの「ピラポ音頭」とインドネシアの「ジャカルタ音頭」/ジャマイカの若者たちを踊らせた河内音頭のファンクネス――永田充康に聞く

第九章 未来の音頭のかたち
音頭の音楽的魅力をDJプレイで表現するDJフクタケ/恐るべき知識量を誇る高校生盆踊り曲マニア から見た音頭の魅力/大友良英が描き出す音頭と盆踊りの未来像

7月12日、「墨田祭りセッション」開催!

ものすごいイベントを企画しました。はっきりいって、画期的な1日になるはずです。「橋の下世界音楽祭」に負けてらんねえぞ、という気迫で企画した渾身のイベントです!

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月刊「ラティーナ」&大石始プレゼンツ「墨田祭りセッション」
〜東京天水連 vs mocidade samba system vsタブラクワイエサ

7月12日(日)浅草 アサヒ・アートスクエア
16時〜20時
入場料 予約:2800円 当日:3300円

出演:
東京天水連(東京高円寺阿波おどり)
mocidade samba system
タブラクワイエサ

司会:山口屋左七 (錦糸町河内音頭大盆踊り司会)

祭り映像ワークショップ:
大石始(ライター/エディター)
花田勝暁(「ラティーナ」編集長)

祭りDJ:大石始

世界の音楽情報誌「ラティーナ」とライターの大石始が浅草アサヒ・アートスクエアで架空の祭りをでっち上げる! 各国の打楽器アンサ ンブルが対決。アサヒ・アートスクエアが灼熱の祭り空間に早変わりします。また、大石始が日本各地で撮影してきた祭り映像上映もあり。 ワールドミュージックとしての祭り文化の楽しみ方をレクチャーいたします。

■予約方法■
下記の予約フォームにアクセスし、氏名、人数、メールアドレス、電話番 号をご登録下さい。イベント当日、予約価格でご案内します。
http://goo.gl/forms/CL8YD05a8i

[プロフィール]
●東京天水連(東京高円寺阿波おどり連協会所属)
「天水」とは「天から降る水と踊りさえあれば あとはもう何もいらない」というほど阿波踊り が好きな人のこと。東京天水連は、高円寺で自 分たちの理想の阿波踊りを踊りたいと昭和60年に結成された。結成以来、阿波踊りの基本と 伝統を守りつつ、「自分達の理想の阿波踊り」を求めつづけている。

●mocidade samba system
バテリア(打楽器 ) そしてサンバの可能性を探る ために結成された G.R.B.P. mocidade vagabunda の 可変型少人数バテリア・ユニット mocidade samba system (m.s.s.)。クラブシーンでのDJとのコラボレーションや、様々なジャンルのミュージシャンのバック・サポート、大人数打楽器隊のみでのバツカーダなど、シチュエーションに合わせて編成やメンバーを変幻自在に組み替えて活動する打楽器ユニット。

●タブラクワイエサ
日本初のエジプト太鼓のアンサンブルバンド。 2000 年エジプト カイロにて結成。メンバー各々エ ジプトに太鼓留学経験有りの本格派。電源不要の移 動演奏を得意とし、叩く、踊る、笑う、たまに歌う。 エジプト大使館、大学、企業などの記念式典から新宿2丁目系、お洒落クラブ系、民族音楽系、ROCK 系のイベントまで幅広く出演。海外、国内の有名ミュージシャン、ベリーダンサーとも共演多数。

●山口屋左七(司会)
土手芸人・司会者、ライターを自称していたこともあるが閉店休業中。2002年より、錦糸町河内音頭大盆踊りの運営にかかわり、2007 年から司会を務める。司会はあくまで添え物、福神漬けはカレーライスを凌駕しない、というスタンスでマイクを握っている。 でも注目されたらされたで嬉しいかも。錦糸町の踊りの輪は天然ラウンドモッシュではな いかと思っている。他に、東京の女流義太夫の楽屋裏の隙間産業なども担当。

会場:
浅草 アサヒ・アートスクエア
東京都墨田区吾妻橋1-23-1スーパードライホール4階
http://asahiartsquare.org/ja/about/

主催:(株)ラティーナ/大石始
問い合わせTEL:03-5768-5588(ラティーナ)

2015年上半期の韓国関連プロジェクト

ここ数年韓国と縁があり、いろいろなお仕事をさせていただいています。

15327125_L1昨年5月、韓国在住のギタリスト、長谷川陽平さんの半世紀「大韓ロック探訪記」(DU BOOKS)の企画・編集をさせていただきましたが(デザインと写真はケイコ・K・オオイシ)、今年頭には韓国語版が出版されました。先月ソウルに遊びに行った際、ホンデの書店にこの本が並んでいる光景を見た際は本当に感無量でした。

日本版「大韓ロック探訪記」の詳細はこちら
http://diskunion.net/dubooks/ct/detail/DUBK060

こちらは韓国語版「大韓ロック探訪記」の商品ページ
http://www.yes24.com/24/goods/15617841

20035536また、この5月、ソウルのイテォンにオープンした「Hyundai Card’s “Music Library”」のワールドミュージック部門のキュレーターをやりました。
このライブラリーは1950年代以降のポピュラーミュージックの歴史のなかでリリースされてきたヴァイナルをアーカイヴしたもので、僕以外にはDJ SOULSCAPEもソウル/R&B/ヒップホップ部門を担当しています。近年の韓国ではLPブームが起こっているため、こうしたプロジェクトも可能なんですね。
先日イテウォンにあるライブラリーにもお邪魔しましたが、あまりに巨大でびっくりしました。なかはライヴハウスやスタジオも完備していて、そちらもかなり豪華。ライブラリー自体にはHYUNDAI CARDの会員しか入れないそうですが、ライヴは非会員でも入れる公演もあるようです。なお、オープニングイベントに出演したのはなんとシン・ジュンヒュン・グループとキム・チャンワン・バンド。大韓ロック最強&最狂の組み合わせに思わずヨダレが…。

今回のキュレーションに関してご協力いただいたみなさまに心から感謝してます。また、繋いでくれたDJ SOULSCAPEにも感謝。本当にありがとうございました!
こちらは「Hyundai Card’s “Music Library”」のオープンを伝える現地の記事(英文)。
http://koreajoongangdaily.joins.com/news/article/article.aspx?aid=3004387

文化放送「MAU LISTEN TO THE EARTH」レギュラー出演中!

「東南アジアのポップ・カルチャー」をテーマとして昨年からお送りしてきた文化放送「MAU LISTEN TO THE EARTH」が10分枠から30分枠へ拡大することになりました!

今まではレギュラー・コメンテーター的な出演だった僕もメイン・パーソナリティーに昇格(笑)。メインのMAUちゃんと2人でお届けしていきます。毎回他の番組ではまずかからないだろう東南アジアの最新曲、アジア各地の特派員の方々からの現地レポート、そしてゲストコーナーで構成される濃厚30分。今後は海外アーティストを招聘したライヴ・イヴェントなども企画していけたら、と思ってます。

放送は毎週水曜の21時半から22時まで30分間、初回は4月1日(水曜)です。ゲストは滞空時間の主宰・川村亘平斎さん、特派員レポートはマレーシアはクアラルンプール滞在中の上原亜季さん(ムティアラ・アーツ・プロダクション)にお話を伺います。Radikoにアクセスしていただければ日本全国から聴取可能!

写真はパーソナリティーのMAUちゃん、そして川村亘平くんと(MAUちゃん、勝手に写真借りました!)。
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また、番組のオープニングテーマはマレーシアの鬼才、ダレン・アシュレイの「Shakuhachi」。彼は現在マレーシア在住のCEE(AL HACA)とのベースミュージック系ユニット、Bass Sekolahでも活動している大注目アーティストです。

また、エンディングテーマはフィリピンのカリスマ的ラッパー、故フランシス・マガロナの名曲をカヴァーしたDJマイクの「Kaleidoscope World」。この歌、歌詞が素晴らしいんですよね。この番組のエンディングにはピッタリなのではないかと思い、選曲しました。

2007〜2008年の「世界酒場紀行」

先日ふと思い立って以前のブログを読み返していたのですが、今読んでも案外おもしろいかも?と思ったものをこちらに移植しておこうかと思います。こちらは2008年12月号の「CDジャーナル」誌に寄稿したもので、タイトルは「世界酒場紀行」。6年前に書いたものです。
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昨年、僕は世界各国の音楽を追いかけて長い旅に出ていた。その町のライヴ情報を探り、現地情報を収集する一方で、夜になると大抵現地の人々に紛れ込んで酒をあおった。今思うと、そんな僕の旅はほとんど「音楽と酒を巡る旅」だった気もする。
10か国ほど行ったヨーロッパの中で、生ビールが一番美味かったのは断然スペイン。この国では生ビールのことを「カーニャ」と呼び、よく冷えたカーニャをタパスと共に胃へ流し込むのは最高の気分である。ただし、バルは長居する場所ではない。財布に余裕があればフラメンコのショウを観ることができるタブラオに場所を変えてもいいけれど、僕の場合は手頃なクラブに足を運ぶことが多かった。バルセロナのような都市部であれば気軽にその町のローカル・アーティストを観ることができたし、複雑なパルマ(手拍子)を笑顔で披露してみせる観客の女の子を眺めているのも楽しいものだ。ポルトガルのリスボンでは、ファドが流れるカーサ・ド・ファドで白ワインをグイッといきたい。ファドの哀愁の響きにほろ酔い気分で耳を傾けていると、ヨーロッパの辺境の地までやってきてしまったという実感がこみ上げてきたものである。

マグレブを含む地中海周辺をウロウロした後、僕は一気に南米へ飛んだ。冬のサンチアゴやブエノスアイレスで呑んだワインもたまらない美味しさだったけれど、もっともアルコール摂取量が多かったのはブラジルのサルバドール滞在期間中だったと思う。僕がこの町で昼から晩まで呑んでいたのがカシャッサ。ピンガとも呼ばれるこの蒸留酒にライムや砂糖を入れるとカイピリーニャというカクテルになるが、安酒場ではこのカシャッサをストレートで呑む。使い捨ての小さなカップに入ったこの液体を3杯も呑めば、あっという間にフラフラ。その状態で、暗くなると町を練り歩き出すアフロ・ブロコのビートや、そこいら中で演奏されているサンバやパゴーヂに耳を傾け、千鳥足でステップを踏むのである。たった2週間の滞在だったが、こんな生活を半年も続けたら誰だって立派なアル中になるだろう。

南米の後はカリブへ。ジャマイカのゲットーでは爆音のサウンドシステムに合わせてレッド・ストライプをあおり、キューバでは老演奏家によるソンを肴にモヒートを。中でも忘れられないのが、トリニダード・トバゴで呑んだラムのココナッツ・ウォーター割り。カリブ最南端に位置するこの国を訪れた時、季節はちょうどカーニヴァルの真っただ中だった。国全体が浮き足だったような、狂乱の日々。爽やかな味わいのラムのココナッツ・ウォーター割りは、カーニヴァルで火照った身体と心をクールダウンさせる効果があった。あの味だけは、あの場所・あの時間でしか味わうことのできなかったものだったと、今改めて思う。

思い返すと、いい音楽の傍らには常にいい酒があった。それは週末になるとクラブやバーへと足を運ぶ現在の日々とも大して変わらないけれど、異国のざわめきの中で味わったそれは、今も僕の耳と舌にしっかりと余韻を残している。

東京郊外の奇跡ーー久米川FOGGY

僕が参加しているTOKYO SABROSOというDJクルーがあります。
このクルーが軸足を置いているのは、ラテンやアフロなどのトロピカル・ミュージック。これまで奇数月第三金曜日、久米川のFOGGYというイカれたDJバーでその名も「TOKYO SABROSO」というパーティーを定期開催してきたのですが、年内でFOGGYでの開催は最後。今後は都心で不定期開催していくことになりました。もちろん都心に移ってもTOKYO SABROSOの「出身地」がFOGGYであることは今後も変わらないのですが、思い入れも強いハコであるため、すでに何ともいえぬ寂しさが込み上げています。

僕がFOGGYで初めてDJをやらせていただいたのは2009年の9月。そのときのことは以前自分のブログでも書いたのですが(http://hazimahalo.exblog.jp/11838847)、当時かなりのカルチャーショックがあったことを今も鮮明に覚えています。住宅街のド真ん中にFOGGYのようなイカれたハコが存在していること。そこに集う人々が濃い顔ぶればかりだったこと。そして何よりも僕が惹きつけられたのは、オーナーである岸さんの人柄でした。
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僕よりも10歳ほど年上の岸さんは埼玉県川越市の出身(ちなみに、奇遇にも僕も川越育ち)。80年代前半にはロンドンに長期滞在し、当時のアンダーグラウンドなクラブ/ライヴ・シーンを体験してきたという方です。あとで分かったことではあるのですが、FOGGYに充満するルードで自由な雰囲気は岸さんが80年代にロンドンで体験してきたものでもあったんですね。ありふれた日常をどのように活き活きとしたものにするか。退屈な人生をどうやってサヴァイヴしていくか。岸さんはロンドンのクラブ・シーンでギャズ・メイオールとその仲間たちから学んできたものを久米川〜八坂という東京郊外のありふれた風景のなかで表現しようとしてきたわけで、岸さんもかなりイカれた人であることは間違いありません。そんなFOGGYと岸さんに魅せられた僕と仲間たちは、その岸さんも巻き込んで2012年より「TOKYO SABROSO」というパーティーを始めました。
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これまでに出演しきたバンド/DJの顔ぶれは豪華そのもの。
そして何よりも素晴らしいお客さまに恵まれたパーティーだったなあ、とつくづく思います。SOUL BONANZAがプレイするアフロ・ファンクに大騒ぎし、YOSUKEくんのカリンボやHIROくんのサルサに熱狂し、岸さんのプレイするブーガルーやMAMIYAくんのニーナ・シモンに反応し……「TOKYO SABROSO」はFOGGYなくしては実現しなかったパーティーだと本当に思います。

そんな思い出深い「TOKYO SABROSO」@FOGGYも残すところ、あと2回です。
都心からはかなりアクセスの悪いところであることは重々承知していますが(笑)、後悔はさせません。ぜひ遊びにきてください。そして、「東京郊外の奇跡」とも言われたFOGGYの空間を体験しにきてください!

9/19(金) @久米川FOGGY (http://foggydmb.com/)
22:00~5:00
¥1.500/1D

GUEST DJ:
山名昇 (BLUE BEAT BOP!)
DJ 吉沢Dynamite.jp
DADDY U (RUMBABOX)
DJ ERI (diskunion)

TOKYO SABROSO DJs:
SOUL BONANZA SOUNDSYSTEM
大石始
岸邦夫 (FOGGY)
YOSUKE (BAOBAB)
A Boy Named Hiro (RESPONSE)
MAMIYA

Support DJ:RYOTA(FRANTIC BROWN BEAT)

FOOD:RED ELEPHANT CAFE

伊勢のかんこ踊り

伊勢神宮外宮から車で30分ほどの宮川流域に残る「かんこ踊り」。
今回は円座町正覚寺と佐八町で取材してきました。
外宮からそう遠くない地域ですが、
踊りの衣装はどう見てもハワイやポリネシアを想像させる腰蓑。
それに縦縞ストライプの上着と、馬のしっぽの毛でつくられた
「シャグマ」という独特な被り物を身につける、なんとも魅力的な踊りでした。

ショチョガマ~平瀬マンカイ~八月踊りの取材で奄美大島へ

9月1日から3日までの3日間、奄美大島へ行ってきました。

目的は奄美大島の秋名という集落で行われるショチョガマ/平瀬マンカイという2つの儀式と、その日の夜に奄美大島最北端、笠利で行われる八月踊り。古来からヤマト(薩摩)と琉球の文化からの影響を受けながらも、独自の文化を発展させ、現在もその痕跡を残す島、奄美。そのディープさにノックアウトされた取材旅行となりました。

ショチョガマは秋名の山中に作られた小屋の上に男衆が乗り、日の出と共にその小屋を揺さぶって倒すという農耕儀礼。僕らも深夜からスタンバイし、早朝の日の出の瞬間に立ち会うことができたのですが、小屋を倒した後、一斉に八月踊りへとなだれ込むシーンには鳥肌が立ちました。あの爆発するような祝祭感はしばらく忘れることができなさそうです。
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午後は同じ秋名の浜辺で行われる平瀬マンカイへ。こちらは浜辺に立つ2つの岩の上にノロたちが乗り、歌と祈りを捧げるというもの。素朴でありながらも、深い歌と踊りにこれまた大感動……。
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その日の夜は最北端、笠利の佐仁集落で行われる八月踊りへ。
奄美の八月踊りは男女が歌を掛け合う、中世の歌垣(http://ja.wikipedia.org/wiki/歌垣)の影響を色濃く残すもの。しかもこの佐仁集落は芸能の盛んな土地でもあるため、素晴らしい歌声の持ち主ばかり。翌日は保存会の会長さんであり、島唄の唄者でもある前田和郎さんに取材させていただいたのですが、こちらもメチャクチャ興味深いお話を聞かせていただきました。ただ、充実した取材であればあるほど、次の取材への課題とお題が出されるのは毎度のこと。今回もとてつもなく大きな課題をいただいた気がしています。

なお、今回はサックス奏者でもある友人のKOYOくん(129th.StreetBand、THE TCHIKY’S)とそのご家族・友人のみなさまに大変お世話になりました。本当にありがとうございました!
KOYOくんのサックスは本当に素晴らしいので、ぜひ聴いてみてください。

今回の取材の成果は来年上半期にアルテス・パブリッシングから出版される旅紀行本に掲載予定。また、旅先でたっぷり撮影してきた映像は来年からスタートさせようと思っているB.O.Nプレゼンツのイベントでご紹介できればと思ってます。こちらもお楽しみに!